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2008年03月19日(水) 21時35分

認知症女性にミシン訪販、JUKI子会社に業務停止命令読売新聞

 訪問販売先で「修理できない」などとうそを言ったり、認知症の女性を狙ってミシンなどを購入させたりしたとして、経済産業省は19日、特定商取引法に基づき、工業用ミシン最大手「JUKI(ジューキ)」(東京都)の子会社「JUKI家庭製品」(同)に6か月間の業務停止命令を出した。

 JUKIがJUKI家庭製品に訪問販売事業を継承させた昨年3月までの3年間にも違反行為があったと認定された。

 特定商取引法は勧誘でうそを言ったり、判断力のない相手に商品を販売したりする行為を禁止している。

 同省によると、JUKIの販売員は06年7月、「ミシンの無料点検に来ました」と女性宅に上がり込み、「古くて交換用の部品がない」とうそを言って居座り、約30万円のミシンを買わせた。同年12月には、別の販売員が高齢の女性に「修理できない」と新しいミシンを勧め、女性が断ろうとしても「既に契約書を書いたので解約できない」と無理やり購入させた。

 同社は約10年前から訪問販売で宝石やアクセサリーなども扱っていたが、神奈川県に住む70歳代の認知症の女性が4年間、同じ販売員から約60点、約2400万円相当の商品を購入させられた例もあったという。

 経産省では「苦情件数が多く、勧誘方法も悪質だったため、業務停止命令に踏み切った」としている。JUKIをめぐっては、全国の消費生活センターなどに04年度648件、05年度447件、06年度338件の相談があったという。

 JUKIの中村和之社長は記者会見して「お客様に多大なご迷惑をおかけした」と謝罪。JUKI家庭製品を4月末で解散させる方針を明らかにし、ミシンを購入させられた被害者からの返品の申し出には、「できるだけ対応したい」と述べた。中村社長と山岡建夫会長は役員報酬の30%を6か月間返上する。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080319-OYT1T00657.htm