記事登録
2008年03月19日(水) 15時01分

米大統領選と国連決議期限=転機のイラク戦略、自衛隊にも影響−開戦5年時事通信

 【ワシントン19日時事】イラク戦争は20日で開戦から5年。今年は米国で新たな大統領が選出されるほか、駐留の根拠となっている国連決議の期限が切れる。航空自衛隊を派遣している日本にとっても、今後のイラク復興支援の在り方を決める上で大きな影響を受けることになる。
 来年1月に就任する新大統領によって、米国のイラク戦略は転機を迎える。民主党候補のオバマ上院議員は大統領就任後、16カ月以内に「戦闘部隊」を撤退させると明言。ただ、大使館などの外交官を警備する部隊は残すとしており、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、オバマ氏が大統領の場合、約3万5000人の兵士駐留を継続させる可能性を指摘している。一方、ヒラリー・クリントン上院議員は60日以内に戦闘部隊の撤収を開始すると主張しているが、期限を設けておらず、米国防総省内では「治安状況によって段階的に削減する現実派」と見る向きもある。
 増派を支持した共和党候補のマケイン上院議員は中東の安全保障政策上、撤収は容易ではないと強調。日本や韓国の駐留米軍を例に挙げ、派遣が長期化することを示唆している。
 もう一つの焦点は、多国籍軍駐留の根拠となる国連決議が12月末で切れることだ。イラクは国連決議延長に消極的で、米・イラク両政府は今月から協議を開始。7月末までに二国間協定(地位協定)を結ぶことで合意する可能性もある。
 米国が協定を結べば、日本もイラクと二国間協定を結ぶ可能性が高いが、オバマ氏が大統領になった場合、米軍が大幅に削減された中で、空自C130輸送機を運用することになり、安全確保上の懸念も生じる。日本は大統領選の行方と国連決議の期限をにらみながら、撤収条件を含めて復興支援の在り方を決断することになる。 

【関連記事】 人種間の格差解消に全力とオバマ氏=過激発言の牧師と一線画す-米大統領選
【関連記事】 買春疑惑のNY知事辞任=クリントン陣営に打撃も-米
【関連記事】 オバマ氏が連勝=黒人層の圧倒的支持集める-米ミシシッピ州
【関連記事】 ミシシッピ州予備選始まる=オバマ氏が優勢-米大統領選
【関連記事】 「最強女性経営者」マケイン陣営に=HP元会長のフィオリーナ氏-米大統領選

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080319-00000078-jij-int