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2008年03月18日(火) 15時14分

道路啓発事業NPO 国交省、1億2千万円随意契約朝日新聞

 国土交通省九州地方整備局による道路啓発事業にボランティアでかかわってきたNPO法人とその関連の出版社(いずれも熊本市)に対し、同整備局管内の河川国道事務所などが、昨年までの2年余りの間に季刊誌購入費や広報活動委託費として、道路特定財源から随意契約で少なくとも計約1億2000万円を支払っていたことがわかった。

 同省の啓発事業では、道路ミュージカルなどを展開した「未知普請(みちぶしん)」運動が批判を集めている。季刊誌購入などはボランティア参加の団体への実質的な援助ともいえ、道路特定財源の使途として議論を呼びそうだ。

 啓発事業は、同整備局が市民参加型の活動として04年に立ち上げた「道守(みちもり)九州会議」。ホームページでは「九州で『道』に関する活動を行う人々や団体で構成する民間主体の任意団体」とされ、ボランティアで清掃事業を行うなどしてきた。

 NPO法人の代表の女性によると、もとは地域の歴史研究などをしていたが活動範囲が広がり、道守会議にかかわるようになった。同会議の熊本県事務局を引き受け、代表らがボランティアであたってきたという。

 一方、契約書類や代表の話によると、少なくとも県内五つの河川国道事務所やダム砂防事務所などが05年7月〜07年3月、代表が社長を務める出版社が年数回発行する、地域づくりに関する市民活動や行政の動きを紹介する季刊誌(400円)を毎号5000〜1万部ほど購入。同社がつくった「道のノート」「道の副読本」などの学習教材やカレンダーの購入、道守会議とは別の広報企画の運営委託などを合わせ、昨年7月までに計約7580万円を支払った。

 さらに昨年6、10月には、NPO法人に対し広報誌作成や広報活動を計約4430万円で委託。いずれの支出も随意契約だった。

 代表は同会議のイベントで分科会座長を務めるなど中心的な役割を果たし、道路特定財源をめぐる議論が活発化した昨年11月には「熊本の道を語る女性の会」として道路整備を求める要望書を県に提出。今年2月には県知事や市町村長らの東京での陳情にも加わった。

 代表は朝日新聞の取材に「行政機関との契約実績は団体の信用につながり、大きな活動資金になる。一緒にイベントをしたり会議の事務局を務めるなどボランティアで汗をかき、活動を認められたからこその契約だと思う。要望や陳情は自分の意思でしたことだ」と話した。

 九州地方整備局は「詳細な事実関係を確認しないとコメントできない」としている。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0318/TKY200803180209.html