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2008年03月18日(火) 23時59分

<障害手帳>不正に取得 看護師含む413人返還 北海道毎日新聞

 聴覚障害の身体障害者手帳の不正取得疑惑で、虚偽の診断書を作成した疑いのある札幌市中央区の耳鼻咽喉(いんこう)科の医師(73)の診断で最重度の「聴覚障害2級」の手帳を取得した人の中に、市立赤平総合病院の看護師と、芦別市の民生委員が含まれていたことが分かった。疑惑発覚後、2人とも手帳を返還し、民生委員は辞任した。

 赤平市によると、看護師は50代女性で、78年に採用された。04年に手帳を取得したが、看護師としての業務に支障はなかった。今月10日の市の再審査で「手帳の要件に該当しない」と判断されたため返還した。手帳の申請書には職業を記入する欄があるが、書かない人が多く、仮に「看護師」と記入してあっても認否に影響ないという。市は「市立病院に勤務していたことは知らなかった」(社会福祉課)としている。

 芦別市によると、民生委員は70代男性。9年ほど前に委嘱され、市民から福祉に関する相談に乗るなどしていた。手帳は03年に取得した。民生委員は町内会が推薦する。市は「推薦書には障害の有無を記載する欄はない。個人情報の関係もあってチェックのしようがない」(福祉課)と話している。

 問題の医師が診断書・意見書を作成し聴覚障害者手帳の交付を受けた人は道内に710人おり、このうち413人が18日までに手帳を返還した。返還者の内訳は▽札幌市51人(交付者数96人)▽旭川市1人(同13人)▽函館市16人(同17人)▽3市を除く道所管分345人(同584人)。医師は札幌市が指定医としており、市が「職務不適当」と判断すれば指定が取り消される。

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 高橋はるみ知事は18日の定例会見で、障害者手帳の発行事務に関する道の取り扱い要領を改善し、再発防止に取り組む意向を明らかにした。知事は「全道でたくさん問題が出ており、市町村や国と連絡を取りながらしっかりと対処しなければならない」と述べた。【西端栄一郎、大谷津統一】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080318-00000165-mai-soci