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2008年03月15日(土) 09時02分

取り調べを録音・録画へ 警察庁、08年度に試行中国新聞

 警察庁は十四日、一部の事件を対象に取り調べを部分的に録音・録画することを決めた。録画機器購入などの予算措置が認められ次第、二○○八年度中に警視庁など規模の大きい警察本部で試行的に実施する方針。○六年から試行している検察に続き警察も録音・録画に踏み切ることで、裁判員制度導入に向けた司法改革がさらに進む一方、取り調べ中心の捜査の見直しも論議されそうだ。

 警察庁はこれまで録音・録画に慎重だったが、来年から裁判員裁判が始まることも考慮。判断が難しい自白の任意性についての争いを減らすためにも、取り調べの録音・録画が有効と判断、方針を転換した。無罪が確定した鹿児島の選挙違反事件などをめぐり、自白強要や誘導への批判が高まっているのをかわす狙いもあるとみられる。

 自民党と公明党が同日、警察捜査での録音・録画試行と、検察の試行拡大を求める提言をまとめたのを受け、警察庁が最終決定した。来月にも国家公安委員会に諮る。

 どのような事件を対象にするかは今後検討する。検察庁は、裁判員裁判の対象となる事件で容疑者が否認しているケースや、死刑相当の重大事件の中から、検察官が必要と判断したものを対象に録音・録画を試行しており、こうした検察庁の実施状況も参考にする。

 暴力団による事件など組織犯罪は除外するとみられる。

 日弁連などは密室での取り調べを「可視化」するために、すべての事件について全過程を録音・録画するよう求めているが、警察庁は全過程の録音・録画は「取り調べの機能を損なう恐れがある」としており、どの部分で実施するかも今後の検討課題となる。

 この日まとまった自民、公明両党のプロジェクトチームの提言は、警察、検察双方に録音・録画をした上で検証結果を公表するよう求めている。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200803150130.html