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2008年03月14日(金) 15時01分

道路ミュージカル 支出元は維持費や修繕費、調査費…朝日新聞

 国土交通省が道路整備の啓発ミュージカルの費用を道路特定財源から支出していた問題で、費用が道路の調査費や改修費、工事雑費などから工面されていたことがわかった。道路ミュージカルの費用を生み出した具体的な予算項目が明らかになったのは初めてで、特定財源の本来の目的からかけ離れた使途拡大ぶりが改めて浮き彫りとなった。

 同省が社民党の保坂展人衆院議員に提出した資料で判明した。

 同省の説明や資料によると、道路ミュージカルは03〜06年度に全国106カ所で上演され、総額約5億7千万円の道路特定財源が投じられた。予算項目は11種に及び、最も多かったのが「地域連携推進事業費」の36件、以下「道路調査費」31件、「一般国道直轄改修費」21件、「工事雑費」5件、「沿道環境改善事業費」4件、「交通連携推進道路事業費」3件と続いた。

 道路ミュージカルは01年に同省が始めた道路整備についての啓発活動「未知普請(みちぶしん)」の一環で、公演1回あたり500万円前後を支出。各地の国道事務所が都内の劇団と随意契約を結んだ。国交省関係者は「各国道事務所がミュージカルを公演した時に推進中のメーンの事業をPRするための費用として、それぞれの事業費の中から支出した」と釈明している。

 冬柴国交相の主導で省内に設けられた道路問題についての改革本部は、道路ミュージカル費用について、各国道事務所長のみの判断で支出でき、本省のチェックが及ばなかった点にも問題があると指摘。事務所長の決裁権限を狭める方向で検討を進めている。

 ■2法人、全額丸抱え旅行

 事業収入の7割以上を道路整備特別会計から得ている「公共用地補償機構」が職員旅行をほぼ丸抱えしていた問題を踏まえ、国土交通省が他の公益法人について調べたところ、06年度に同会計から500万円以上の支出を受けた同省所管の50法人のうち、同機構を含む計22法人が職員旅行に福利厚生費を支出していたことがわかった。うち「河川情報センター」と「先端建設技術センター」は個人負担がゼロで、全額「丸抱え」だった。

 冬柴国土交通相は14日の閣議後会見で「丸抱えというのは庶民、国民の目で見れば妥当ではないと思う」と述べ、法人の役員や管理職に半額返還を求める考えを示した。

 国交省の調べでは、22法人のうち河川情報センターは、62人分の旅行費用計約232万円(1人当たり約3万7千円)を全額支出。先端建設技術センターは44人分の計約146万円(同約3万3千円)を出していた。

 残りの19法人は参加者も費用の一部負担、1法人は参加者負担について「不明」としている。

 最も多くの額を職員旅行に支出したのは「近畿建設協会」で約1330万円。参加者222人で1人当たり約6万円の計算。自己負担は1人1万円だった。次いで多いのは「中国建設弘済会」の約938万円で、1人当たり約5万円。「中部建設協会」が約798万円で、1人約2万6千円などだった。

 国交省はこの50法人について、半減する方針を示している。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/politics/update/0314/TKY200803140198.html