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2008年03月14日(金) 14時35分

三井住友銀融資、紹介企業に組関係者…一部還流か読売新聞

 三井住友銀行が中小業者六十数社に融資した約170億円のうち約100億円が回収不能になっている問題で、中小業者を同銀行に紹介した不動産会社「コシ・トラスト」(東京都渋谷区)の役員に一時、暴力団関係者が名を連ねていたことがわかった。

 就任時期は、一連の融資が行われた時期と重なっていた。同銀行では、取引先についてのチェックが不十分だった可能性もあるとみて内部調査を進めている。

 民間の信用情報調査会社などによると、コ社は2000年7月に設立。従業員は最大で30人を超え、福岡市と千葉県船橋市に支店を開設したこともあったが、現在は休眠状態になっている。暴力団関係者は2005年9月から、コ社の役員に就任していた。

 コ社はもともと、同銀行高円寺法人営業部との取引があり、03年ごろから担当行員に対し、融資先として知り合いの中小業者を紹介するようになった。

 複数の関係者によると、中小業者が融資を受ける際に同銀行に提出していた偽造の納税証明書や不動産鑑定書などはコ社の社長らが用意し、業者に渡していたという。「借り入れに協力した業者の中には、暴力団組員が出入りしていたところもあった」との証言もあり、同銀行からの貸付金の一部は暴力団側に流れた可能性も浮上している。

 同銀行は06年秋ごろ、グループの中小業者に融資した資金の一部が、別の業者の返済に充てられるなどの不審な資金の動きを把握、新規貸し付け停止などの措置をとった。暴力団関係者は、同銀行が融資金の回収に本腰を入れ始めた07年3月に役員を退任している。

 三井住友銀行広報部の話「関連情報から問題があることがわかったのは取引停止後の昨年末。(コ社への)融資開始時には、この役員は就任していなかったうえ、1年半で辞めているため、把握できなかった」

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080314-OYT1T00538.htm