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2008年03月14日(金) 15時01分

<裁判員制度>重大事件は取り調べを録音、録画 対象拡大へ毎日新聞

 来春始まる裁判員制度に向け、法務・検察当局は、一部の事件で限定的に試行してきた取り調べの録音・録画の対象となる事件を大幅に拡大する方針を固めた。殺人など裁判員制度の対象となる重大事件について、原則的に行う方向で検討する。

 警察や検察による取り調べの在り方を検討してきた公明党法務部会は14日、「録音・録画による取り調べ状況の更なる可視化を含め、容疑者らの供述のみに依存しない捜査を目指すべきだ」とする提言案をまとめたが、法務・検察当局はこうした提言も参考にして、録音・録画の範囲を詰めるとみられる。

 現在、検察による録音・録画は、検察官が任意に選んだ事件で、主に自白をした動機や取り調べの様子を容疑者に確認する場面などに限って行われている。

 公明党案は「当面求める施策」として、裁判員対象事件のうち、▽当初否認していた場合▽責任能力が問題になる場合▽少年事件▽重大殺傷事件−−などのケースは原則として録音・録画するよう提案している。

 一方、同党案は、「今後検討すべき施策」として、取り調べの全過程の録音・録画(可視化)も盛り込んだ。しかし、これについては、最高検が2月に公表した報告書で全過程の録音・録画には「真相解明を害する恐れが大」と反対しており、提言にどう応えるか注目される。

 取り調べの適正化を巡っては、自民党司法制度調査会のプロジェクトチームが14日午後、警察に対し、現在の検察と同レベルの録音・録画を試行するよう求める提言をまとめる予定だ。【坂本高志、伊藤一郎】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080314-00000053-mai-pol