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2008年03月14日(金) 22時52分

取り調べを録音・録画へ 警察庁、08年度に試行中国新聞

 警察庁は十四日、一部の事件で取り調べを録音・録画することを決めた。録画機器購入などの予算措置が認められ次第、二○○八年度中に警視庁など規模の大きい警察本部で試行的に実施する方針。検察に続き、警察も録音・録画に踏み切ることで、裁判員制度導入に向けた司法改革がさらに進む一方、取り調べ中心の捜査の見直しも論議されそうだ。

 自民党と公明党が十四日、警察捜査での録音・録画試行と、検察庁には対象を拡大するよう求める提言をまとめており、警察庁はこうした提言を受け最終決定した。来月にも国家公安委員会に諮る。

 警察庁は来年から裁判員裁判が始まることも考慮。判断が難しい自白の任意性の争いを減らすためにも、取り調べの録音・録画が有効だと判断した。

 どのような事件を対象にするかは、今後検討する。検察庁は、裁判員裁判の対象となる事件で、容疑者が否認したり、死刑相当の重大事件の中から検察官が必要と判断したものを対象に録音・録画を行っており、こうした検察庁の実施状況も参考にする。

 暴力団による事件など組織犯罪は除外するとみられる。

 また、日弁連などは密室での取り調べを「可視化」するために、すべての事件の全過程を録音・録画するよう求めているが、警察庁は全過程の録音・録画は「取り調べの機能を損なう恐れがある」としており、どの部分で実施するかも今後の検討課題となる。

 この日、まとまった自民、公明両党のプロジェクトチームの提言は警察、検察双方に録音・録画を行った上で検証結果を公表するよう求めている。

 公明党は検察庁に対し、これまで録音・録画の対象としてきた重大事件については、原則すべての事件で実施するよう求め、取り調べの全過程での録音・録画も今後の検討課題とした。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200803140379.html