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2008年03月14日(金) 02時33分

<名古屋市立大>書類送検の医師13人、博士号はく奪せず毎日新聞

 名古屋市立大大学院医学研究科の博士号審査を巡る汚職事件で、贈賄容疑で13日に書類送検された医師13人の博士号を名市大が剥奪(はくだつ)しない方針であることが分かった。13人は愛知県警の調べに対し、事前に口頭試問の内容を教えられたことを認めており、事件の公判では検察側が「審査は無意味だった」と担当教官自身が述べていることを明らかにしている。これに対し名市大は「審査制度は客観的だ」と主張しており、議論を呼びそうだ。

 名市大医学部事務室の下村卓也事務長は13日、毎日新聞の取材に▽研究成果をまとめた論文は客観的で高水準▽論文が海外の専門誌にも掲載されている−−などとして「事前に試問内容を知っていたとしても博士号の評価に値する」と剥奪しない理由を説明した。

 県警の調べでは、13人は05年3月25日授与の医学博士号の審査前、審査の主査を務めた元同大学院教授の伊藤誠被告(68)=収賄罪で起訴=から試問内容を口頭や電子メールで事前に知らされたといい、全員が合格した。13人は見返りとして、1人当たり現金20〜30万円の計270万円を伊藤被告に渡したとされる。中には試問のリハーサルを受けた者もいたという。

 名古屋地裁で11日に行われた初公判で、伊藤被告は起訴事実を認めた。検察側は冒頭陳述で、試問内容が事前に漏れていたことについて、副査を務めた教授らが「口頭試問が実質的に無意味になる」「(申請者の)負担が大きく減ることになり審査に意味がない」と証言していることを明らかにし、審査の公平性に疑問を示した。【桜井平】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080314-00000015-mai-soci