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2008年03月12日(水) 15時06分

日本のタブーに挑んだ中国人映画監督 李纓 リ・イン/映画監督COURRiER Japon + hitomedia

日本の映画関係者も撮っていない「靖国」を題材にしたドキュメンタリーが、間もなく日本で上映される。そこでは、日本人も知らない“秘密”が明らかになる。
このドキュメンタリー映画『靖国』を撮影したのは、中国人監督、李纓(44)。中国の国営中央テレビ(CCTV)でドキュメンタリー制作に携わった後、日本に留学。その後は唯一の中国人として日本映画監督協会にも所属し、数々の作品を撮影してきた。
「日本人の多くは、靖国に祀られているのが軍刀だということを知りません」
と、李纓は言う。この映画は、終戦まで多く作られた“靖国刀”の刀匠の一人で、唯一の生き残りである人物への取材を軸に展開。靖国に対する賛否両論を取り上げながら、日本人にとっての意味を探っていく。
『靖国』の撮影は苦労の連続だった。右翼の妨害はもちろんだが、靖国の存在に反対する左翼の人々も、当初は取材に難色を示した。時間をかけた付き合いで信用を得て初めて可能になった撮影も少なくなかった。撮影を思い立ったのは97年。完成まで10年もかかるとは思っていなかった。
撮影初期は、なかなか資金提供者を見つけられず家賃すら払えない時期もあったが、中国の企業家以外に、日本の文部科学省の芸術文化振興基金からも資金援助を得ることができた。日本国内では、「国民の税金でこんな映画に資金援助をするなんて」との批判もあったが、基金側は「異論があっても資金提供は撤回しない」と回答。この言葉に感動したと、李纓は言う。 「この映画は、反戦映画であって、反日映画ではないのです」

国際先駆導報(中国)より。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080312-00000000-cou-int