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2008年03月10日(月) 03時00分

「彼のこと全部知ってるよ」校長、教え子の交際相手調査朝日新聞

 教え子だった女性を脅して交際を迫ったなどとして、埼玉県川口市の市立川口高校校長、市川和夫容疑者(56)が逮捕された事件で、市川容疑者が、女性が交際している男性の住所や経歴などを調べあげ、「何があっても知らないよ」などと女性を脅していたことが県警の調べでわかった。県警は、市川容疑者が校長という立場や教育界の人脈を使い、こうした個人情報を入手したとみて調べている。

 県警は9日、市立川口高校を家宅捜索し、校長室から市川容疑者が脅迫メールを送ったとされる市所有のパソコン2台などを押収した。

 その後の調べで、市川容疑者が女性を脅す際、女性の交際相手の男性の名前をあげ、「(彼の)住所も経歴も全部知ってるよ。人を殺すのは平気だよ」などと電話していたことが新たにわかった。男性の家族構成も把握していたとみられるという。

 脅迫メールは校長室の公用パソコンから送っていたとされる。メールは長い時はA4用紙3枚にのぼったという。脅迫文は封書で計十数通、メールは数十回に及んだという。

 市川容疑者は、女性が在学中だった02年1月にみだらな行為をして以降、女性が嫌がっているにもかかわらず、計5年間にわたり関係を迫ったとされる。その一方で、06年10月にはJR上尾駅ホームの階段で、女子高校生に痴漢行為をした男を取り押さえたこともある。当時、朝日新聞の取材に「女性が恐怖心を持つような行為は許せない。私の手柄ではない。助けを求めて声をあげた生徒が偉い」などと話していた。

 同市教委は9日、会見を開き、校長逮捕の不祥事を謝罪した。同校は8日の卒業式で卒業証書を授与したが、神山則幸教育長は「卒業生から校長名の削除などを要請された場合、真摯(しんし)に対応したい」と述べた。

 同校の1、2年生は10日から期末試験の予定で、同日朝の全校集会で事件を説明し、生徒の様子によっては延期も検討するという。

 同市教委によると、市川容疑者は77年に県立高校教諭に採用。数学と理科を教える教諭や、県教育委員会の指導主事などを務めた。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0309/TKY200803090185.html