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2008年03月10日(月) 02時31分

<消費生活センター>相談員95%が非常勤 契約年数制限も毎日新聞

 全国の都道府県と政令指定都市の消費生活センターの消費生活相談員のうち、約95%が非常勤(嘱託を含む)であることが毎日新聞の調査で分かった。非常勤職員に対し、雇用契約年数を制限する「雇い止め」も約3割の15都県と5市で設けていた。消費者行政の強化が検討される中で、現場の要となる相談員の雇用基盤の脆弱(ぜいじゃく)さが浮き彫りになった。 

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 調査は1月末から2月上旬にかけ、各消費生活センターに文書で行った。

 業務の一部でもNPO法人などに委託している自治体を除き、東京、奈良、福岡など35都県と、さいたま、静岡、堺など7市の消費生活センターに計543人の相談員がいるが、うち515人が非常勤だった。非常勤の割合が最も低かったのは高知県で、相談員12人に対し7人だった。

 雇い止め年数で最も短かったのは大阪市などの3年。最長は茨城県の15年だった。制度を柔軟に運用し、再任用を認めている自治体もある。

 業務の「全部委託」は北海道、青森県、横浜市。神奈川県、大阪府、兵庫県など10府県9市が「一部委託」と答えた。和歌山県は4月から相談・啓発業務を委託する。

 相談業務を行う国民生活センター(内閣府所管)と各自治体の消費生活センターは連携はしているが、運営は独立している。国民生活センターによると、消費生活センターは全国に547カ所ある。【亀田早苗】

 ▽明治学院大の円山茂夫准教授(消費者法)の話 悪質商法や製品事故の被害救済の最前線を担う相談員は、専門的知識と交渉能力が求められる。自費で研修に出る熱心な相談員もいるが、雇い止めで知識・経験が生かせないなどバックアップ体制がない。結果として、救われるべき消費者が救えていない。根本的に制度を変える必要がある。

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