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2008年03月09日(日) 03時03分

新銀行東京、石原知事の責任が焦点に 都議会追及へ朝日新聞

 東京都が1000億円を出資し、経営難に陥っている新銀行東京で、都が400億円を新銀行に追加出資する議案の審議が11日の都議会予算特別委員会で最大のヤマ場を迎える。銀行の経営実態の開示や石原慎太郎知事の説明が不十分で、都議会は追及を強める構えだ。追加出資の妥当性や再建策の実効性、石原知事の責任が大きな焦点となる。

 「情報不足で評価しようがない」「説明を聞いても謎ばかりだ」。石原知事が提出した追加出資案について、都議会や都庁内で不信の声が広がっている。

 追加出資について、石原知事は(1)事業清算(2)破綻(はたん)(3)追加出資の選択肢のうち「(他に)方法がない。店じまいすれば1000億円以上かかる」と訴えたが、追加出資を選んだ経緯や数字の算定根拠は示していない。

 400億円という出資額の根拠についても、都側は「国際決済銀行(BIS)規制で事業展開の上で避けられないリスクに対応する資本を確保する」と説明するだけで、算定方法は示していない。再建策でも、銀行側は3年後に単年度黒字にする再建計画を発表したが、資産を約4分の1に縮小するのに業務粗利益を2倍以上にする内容で、専門家からは「実現困難」との声が上がる。

 経営悪化の責任論をめぐっては、石原知事は「常識では考えられないような運営をした」と旧経営陣の責任を強調する。だが、旧経営陣からは「都の計画に沿っただけ」との反論があがり、互いに責任を押しつけ合う構図となっている。

 都議会は自民、公明、民主3会派が04年、銀行設立に向けた1000億円の出資を認めた。だが今回、与党幹部も「追加出資しかないと知事が言っても都民に理解してもらえない」と話す。「債務超過を避けるためだけの出資。銀行側からは当初300億円で足りるとの提示もあった」(都議)との声もあり、与野党とも石原知事を厳しく追及する構えだ。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/politics/update/0309/TKY200803080241.html