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2008年03月09日(日) 03時05分

「反転」の田中元検事、オーナー企業の出資めぐりトラブル読売新聞

 検察捜査を批判するなどしたベストセラーの自伝「反転 闇社会の守護神と呼ばれて」の著者で、元特捜検事の田中森一(もりかず)・元弁護士(64)が、オーナーの地理情報会社「テラ・マトリックス」(東京)を巡って、出資者と金銭トラブルになっていることがわかった。

 「上場できなければ、株は買い戻す」として数億円の出資を募っていたとされるが、テラ社の社長は「会社は破たん状態」としている。

 「反転」は約27万部を売り上げたが、印税の一部を差し押さえた出資者もいる。

 田中元弁護士は、東京、大阪両地検の特捜部に在籍。撚糸(ねんし)工連事件などを手がけ、弁護士に転身後は、山口組最高幹部らの弁護人を務めた。しかし、石油卸商社を巡る約179億円の約束手形詐欺事件で先月28日、懲役3年の実刑が確定、弁護士資格を失った。近く収監される。

 テラ社社長の説明によると、同社は2000年12月、資本金1000万円で設立。航空機で収集したデータで3次元の地理情報を作成することを主な事業とし、技術を持つ米国企業から、日本国内などで事業展開する権利を1500万ドル(当時約18億円)で購入する計画だった。田中元弁護士は01年、社長の誘いで株の6〜7割を保有するオーナーとなったが、テラ社は権利金を830万ドル(同約10億円)しか払えず、05年5月に事務所を閉鎖した。

 関西在住の男性ら約10人は03年ごろ、テラ社に100万〜500万円計約2000万円を出資。田中元弁護士からは「06年春上場予定」と書かれた会社案内を見せられ、「上場できなければ買い戻す」とした確約書を受け取った。だが上場はされず、出資者らは内容証明郵便で株の買い戻しを求めたものの、返事はなかった。また、別の出資者が「反転」の印税(約2500万円)から1100万円を差し押さえたという。テラ社役員には01年6月から3か月間、宇宙飛行士で日本科学未来館館長の毛利衛さん(60)の妻も名を連ねた。毛利さんは「結果的に利用された」と困惑している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080308-OYT1T00779.htm?from=navr