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2008年03月06日(木) 03時10分

スルガ社、地上げ資金に150億円 暴力団に一部流出か朝日新聞

 東証2部上場の不動産・建設会社「スルガコーポレーション」(横浜市)が所有していたビルを巡る弁護士法違反事件で、同社は、地上げを依頼した不動産会社「光誉実業」(大阪市)側に、東京都内の5ビルの立ち退き交渉に伴う資金として、総額約150億円を提供していたことが警視庁の調べでわかった。このうち、入居者への立ち退き料などの費用を除いた数十億円が光誉の報酬になったとみられる。同庁はその報酬の一部が山口組系暴力団に流れた疑いがあるとみている。

 組織犯罪対策4課の調べで、スルガ社は同5ビルの土地の転売で、総額約270億円の利益を得ていたこともわかった。

 調べでは、スルガ社は03〜07年、逮捕容疑の対象となった「秀和紀尾井町TBRビル」(千代田区麹町5丁目)のほか、渋谷区道玄坂2丁目のビル、同区宇田川町の2ビル、港区赤坂2丁目のビルについて、光誉に立ち退き交渉を依頼。光誉はいずれも、1年〜約1年半で交渉を終え、その後、いずれの土地も転売されたという。

 TBRビルではスルガ社は光誉に約42億円を提供。このうち20億円程度が立ち退き料に充てられ、人件費などの経費を除いた十数億円が報酬として光誉の利益になったとみられる。

 ほかの4ビルでは、スルガ社から光誉側に計100億円余りが支払われ、TBRビルの分と合わせると計約150億円。うち半分程度が立ち退き料として使われ、光誉には1物件あたり数億円ずつの報酬が渡ったと同課はみている。

 それら報酬の一部が同社と関係のある山口組系暴力団側に流れた疑いがあるとみて、同課は資金の流れを調べている。

 一方、スルガはTBRビルの立ち退き後の土地の転売で約90億円の利益を得た。道玄坂2丁目のビルの場合は、スルガ社が03年7月に大手建築会社の子会社から約56億円で購入。立ち退き後に更地にして05年4月に売り、約48億円の転売益を得た。

 不動産関係者によると、不動産の転売では、購入から1年〜1年半のうちに手放したほうが利益が出やすいという。それ以上かかると借入金の金利で転売益が圧縮されるためという。

 スルガ社の大川武男総務部長は朝日新聞の取材に、光誉に立ち退き交渉を依頼したことについて「土地は早く売らないと利益にならない。転売の生命線はスピード。光誉はそれが示された」と理由を説明している。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0306/TKY200803050349.html