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2008年03月06日(木) 14時04分

自転車3人乗り、合法化に向け見直しへオーマイニュース

 車の免許をお持ちの方は、免許の取得や更新の際の講習を受けられる際、交通ルールやマナー、法規や規範のバイブルとされる「交通の教則」を、一度でもお読みになっていることと思います。その中には、「歩道に通行可能の表示がなければ、基本的に車道を走りましょう」など、自転車についてのルールやマナーなどの規定も掲載されています。

 警察庁は今、この交通の教則を、30年ぶりに見直す作業を行っています。その中で、自転車について新たな動きが起ころうとしているのです。

 新しい交通の教則では、「自転車の車道走行原則などの徹底」など、地域によってはそのための基盤整備がないことに構わず規定だけ厳格化されたものもありました。特に自転車の場合、「自転車に幼児用座席が装備されている場合、乗せられるのは、6歳未満の幼児1人だけ」にする方針が含まれていましたが、3月4日までに、警察庁がその方針を転換するための検討に入ったと報じられます。その転換した方針というのが、本来道路交通法で非合法化されているものの、実際には多くの子育て中の母親の方々が実践していると言われている「3人乗り」です。

 警察庁は、実際の母親の皆さんからアンケートを採り、4割以上から「6歳未満2人の同乗を認めろ」との回答を得たとした上で、「3人乗りが可能な、安定した構造の自転車であれば、前後に6歳未満の幼児を1人ずつ乗せてもよい」という新たな解釈を与え、自転車関係業界に対して3人乗りでも安全に走行できる自転車を開発し、普及させるよう、文書で協力を求めたのです。近日中に有識者による検討委員会も立ち上がり、「3人乗りの合法化」が確実になりそうです。

 そうなってくると、各地の警察や自転車取扱店の出方が気になります。道路交通法の上では、自転車は本来軽車両であり、免許がいらないにしても、その運転には法的責任が伴いますが、その割には自転車を買っても交通の教則はもらえません。それが不思議なところです。

 また、以前書きましたが、地域によっては、道路が自転車のことを考えていない構造になっています。このままでは3人乗りしている・していないにかかわらず、自転車利用者が法律面でのリスクを負う恐れがあります。新しい法規による取り締まりや制裁だけが、新しい法律にあった基盤を持つ道路を待たずに実施されることになりかねないからです。

 本来自転車利用者は、それぞれの生活や趣味に即した使い方とは別に、法律やルール、マナーを遵守する運転を心掛ける、その対価として法律上の基準を満たし、ルールやマナーをスマートに行使できる道路環境を求める権利があります。

 今回の3人乗りは多くの自転車利用者が声を上げれば、ルールが変えられると言うことを示した形となりました。今後全国で、歩道と車道の間に自転車通行帯を設けるなど、自転車が確実にルールやマナーをまっとうできる環境も必要のようです。

(記者:河村 崇)

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