記事登録
2008年03月05日(水) 10時40分

スルガ社、5物件で立ち退き依頼 違法交渉承知か朝日新聞

 東証2部上場の不動産・建設会社「スルガコーポレーション」(本社・横浜市)が所有していたビルの地上げを巡る事件で、同社が03年から継続的に不動産会社「光誉実業」(大阪市)の社長朝治博容疑者(59)らに、購入したビルの入居者との立ち退き交渉を依頼していたことがわかった。弁護士でない者による立ち退き交渉は違法だが、計五つの物件で依頼を重ねていた。警視庁は、暴力団と関係のある光誉が違法な交渉をしていると知りながらスルガ社が巨額の資金提供を続けた疑いがあるとみている。

 スルガ社の岩田一雄会長兼社長は4日、代表取締役社長を辞任した。会長職にはとどまる。「03年に取引を始めた時点では暴力団と関係があるとは知らなかった」「大阪流の熱意のある会社で、という思いもあった」などと釈明した。

 組織犯罪対策4課の調べなどによると、スルガ社が光誉に立ち退き交渉を依頼した不動産は、逮捕容疑の対象となった東京都千代田区の「秀和紀尾井町TBRビル」のほか、渋谷区内3カ所と港区1カ所の計4カ所の商業ビル。光誉は03〜07年、スルガ社から報酬を得て、ビルの入居者らに「スルガ社からビルの所有権の譲渡を受けた」などとする虚偽の文書を示し、立ち退き交渉をしていたという。

 一方、TBRビルでは、スルガから光誉側に地上げのための資金として計約42億円が提供されていたことが同課の調べで判明した。光誉側は、ここから立ち退き補償金などを差し引いた10億円超を報酬として得たとみられる。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200803050007.html