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2008年03月04日(火) 02時31分

<インサイダー>赤字情報で空売り 下落後、買い戻し毎日新聞

 インサイダー取引疑惑を持たれている新日本監査法人所属(当時)の公認会計士が昨春、監査チームの上司から「顧客企業が赤字に転落する」との極秘情報を入手した直後に株取引を実行していたことが分かった。証券取引等監視委員会も同様の事実を把握しており、証券取引法違反(インサイダー取引)容疑で、会計士に課徴金百数十万円を科すよう、月内に金融庁に勧告する方針を固めた。

 悪用されたのは、東証2部上場の情報通信会社「マーベラスエンターテイメント」(東京都渋谷区)株。

 関係者によると、マーベラス社の監査を担当するチームに所属していた会計士は昨年3月、上司から「マーベラス社が3月期決算で赤字に転落する」と聞いた直後、261株を信用取引で売却(空売り)した。さらに当時5万円前後で推移していた株価が、業績の下方修正公表(昨年3月20日)を受け4万円前後に下落した後の昨年4月、全株を買い戻し、35万円の利益を得たという。

 マーベラス社は上場(02年11月)後、毎期黒字決算だったが、07年3月期は経常損失約10億5400万円を計上する初めての赤字決算だった。

 会計士は、大証ヘラクレス上場企業の300株についても、重要情報公表前に買い付けたことが既に判明している。しかし、公表日翌日の株価(終値)が下落していることから、株価上昇などを前提条件とする証券取引法の規定に照らし、課徴金の対象から除外される見通し。会計士が監査を担当した上場企業は他に1社しかなく、業務の大半が不正な売買に結びついた形になっている。

 日本公認会計士協会によると、会計士のインサイダー取引が発覚したのは、業務提携公表前に提携先の株を購入した会計士が逮捕された01年2月以来2例目という。【堀文彦】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080304-00000012-mai-soci