病院や医師に対する口コミサイト「QLife」は、2006年9月の設立以来、1年半ほどで月間利用者80万人を超える人気サイトに成長した。医療と口コミの関係について、運営するQLife社の山内善行社長に聞いた。
医師への感謝伝える口コミ山内 国内最大級の病院検索サイトです。口コミを書き込んだり閲覧したりすることができるのが特徴です。口コミを書き込めるのは会員だけですが、閲覧はだれでもできます。全国16万件の病院データをそろえてあり、利用者数は月間80万人、投稿できる会員数は12万人を超えました。
山内 親会社のカレンは金融機関や自動車メーカーなどを顧客として、ネット上での営業支援をしています。そこで得た口コミ活用ノウハウをもっと生かす場所はないかと検討したところ、その中で医療が一番口コミの価値が高いのではないかと考えたのです。
情報を知っている人と知らない人の格差が大きく、そこを埋める上で一般消費者の口コミが大きな価値を持つ分野はないかと考えていったら、それが医療でした。
それとは別に、せっかく新しいビジネスを立ち上げるのだから、社員が「いいことをしている」と実感できる仕事をしたいというのもありました。社会貢献の意識も持てる、やりがいのある仕事です。
山内 yorimoで実施したアンケート調査で、8割超の患者は医師に対して「感謝」した経験があるという結果が出ました。しかし、その感謝の気持ちを医師本人に伝えることはまれです。
では誰に伝えるかというと、隣近所の人や会社の同僚です。「あそこの先生に、こんなふうに良くしてもらったよ」という口コミです。それをサイトに応用したのがQLifeです。
QLifeの口コミは、「病院に行くつもりはなかったけれども、私も行ってみようかしら」というきっかけに使われることが多いようです。乳がん検診や痔、泌尿器系の受診などは特にそうですね。
メタボや禁煙など切迫感がない分野だと、病院嫌いな人は行こうと思わないでしょう。こういう人たちは、客観的データを提示しても病院には行かないわけで、むしろ「こんな先生が優しく、恥ずかしくなく、こうしてくれた」といった、雰囲気を伝える情報の方が、受診行動につながるのです。