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2008年03月04日(火) 03時08分

地上げ十数人逮捕へ、東証2部企業が40億円で依頼読売新聞

 東証2部上場の建設不動産会社「スルガコーポレーション」(横浜市)が取得した都心のビルを巡り、弁護士資格がないのに立ち退き交渉を行い、同社から多額の報酬を得ていたとして、警視庁組織犯罪対策4課は、弁護士法違反(非弁活動)容疑で、大阪市内の不動産会社社長(59)ら十数人の逮捕状を用意、4日にも逮捕する方針を固めた。

 社長らがスルガ社から受け取った資金は約40億円に上り、うち10億円前後が報酬とみられる。社長は指定暴力団山口組との親密な交際が指摘されており、同課は、一部が山口組側に渡った疑いもあるとみて資金の流れを追及する。

 同法には、非弁活動を依頼した側に対する罰則規定はないが、スルガ社は、このビル以外にも、都心で買収した複数のビルの立ち退き交渉を社長らに依頼していたとみられ、上場企業としての姿勢が問われるのは必至だ。

 問題のビルは、千代田区麹町の参院議員宿舎の隣にあった13階建てビル「秀和紀尾井町TBR」。2005年9月、スルガ社が所有権を取得し、07年春〜秋に解体され、現在は駐車場に利用されている。

 調べによると、社長らは05年秋から約1年間にわたり、弁護士資格がないのにスルガ社から報酬を受け、企業や法律事務所、個人の入居者との立ち退き交渉など、法律事務を行った疑いが持たれている。

 社長らは、威圧的な態度で交渉にのぞみ、半ば強制的に退去を迫っていたほか、スルガ社から所有権を譲り受けたと入居者に偽り、退去するまでの賃貸料も自分の会社の口座に振り込ませていたという。40億円には、この賃貸料も含まれていた。

 同課によると、社長は関西を拠点とする「地上げ屋」として知られ、1997年に射殺された山口組最高幹部の宅見勝組長(当時61歳)と親しく、現在も同組との関係が深いという。

 スルガコーポレーションは1972年に駿河建設として設立され、95年に東証2部上場を果たした。銀座や六本木など都心の一等地の不動産開発を手掛け、昨年3月期の売上高は792億円。同社総務部は「捜査に協力しているが、コメントできない」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080304-OYT1T00119.htm?from=top