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2008年03月03日(月) 16時44分

インサイダー 証券監視委が会計士調査 監査情報で株売買毎日新聞

 新日本監査法人(東京都千代田区)に所属していた30代の公認会計士が、会計監査を通じて知った顧客企業の情報を基に2社の株式を売買したとして、証券取引等監視委員会が証券取引法違反(インサイダー取引)容疑で調査していることが分かった。同監査法人が3日、明らかにした。証券監視委は会計士に課徴金を科すよう金融庁に勧告する方針。これを受け、金融庁は課徴金納付命令のほか業務停止などの行政処分も行うとみられる。【堀文彦】

 会計士を巡っては、粉飾決算に加担して同法違反(有価証券報告書の虚偽記載)に問われた例などがあるが、インサイダー取引容疑は異例。会計士は証券監視委の聴取に容疑を認めている模様だ。

 同監査法人によると、会計士は01年10月〜昨年6月、東京事務所に勤務。06年2月、監査チームの一員として監査業務を担当していたサービス業の会社=大証ヘラクレス上場=の株式300株を買い付け、同月中に売却した。この間株価が下落したため、300万円の損失を出した。昨年3月には情報通信会社=東証2部上場=の261株を証券会社から借りて売り、翌月までに買い戻して35万円の利益を得た。

 いずれの取引も財務情報など職務を通じて入手した非公表情報を基に行い、会計士は内部調査に「他の株取引で損失を出し誘惑にかられた」と違法性を認めた。また、知人女性の口座を使い売買したことも認め「(名義を)ごまかすため」と話している。同監査法人は株取引経験の有無を報告させており、会計士は多数回の経験があるのに「なし」と虚偽申告していた。

 新日本監査法人はトーマツ、あずさと並ぶ三大監査法人の一つ。太田昭和とセンチュリーが00年4月に合併して設立され、01年7月、現在の名称に変更された。職員数は5639人(07年12月末)で国内最多。監査対象企業数は、あずさ(5419社)に次ぐ5107社。【堀文彦】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080303-00000015-maip-soci