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2008年03月03日(月) 13時52分

ロス移送審理開始、三浦元社長「逮捕不当」釈放求める読売新聞

ロサンゼルス移送に関する審理のため法廷に入る三浦元社長(サイパン・北マリアナ上級裁判所で)=吉岡毅撮影

 【サイパン=稲垣収一、山下昌一】1981年11月のロス疑惑「一美さん銃撃事件」を巡り、米自治領サイパンで殺人などの容疑で逮捕された元輸入雑貨会社社長、三浦和義容疑者(60)について、米ロサンゼルスへの移送の是非を審理する法廷が3日、現地の北マリアナ上級裁判所で始まった。

 弁護側は移送に不同意の意向を示すとともに、移送手続きの取り消しと即時釈放を申し立てた。弁護側は今後、日本で無罪が確定した元社長について、判決が確定した事件の刑事責任を再び追及することを禁じる「一事不再理」を争点にしたい考えで、審理は長期化する可能性が高まっている。

 「身柄拘束の令状がないまま逮捕され、11日間も不当に拘置されている」

 この日午前11時(日本時間午前10時)から始まった審理では、三浦元社長の弁護人の一人、マーク・ハンソン弁護士が、先月22日に元社長がサイパン国際空港で逮捕されて以降の手続きに誤りがあると指摘。「本来は、北マリアナ上級裁判所発付の逮捕状を取得すべきなのに、いまだにそれがない」と述べ、ロスへの移送に同意しないことを明らかにしたうえで、即時釈放と移送手続きの取り消しを求めた。

 これに対し、北マリアナ司法省のジェフリー・ウォーフィールド主任検事は「カリフォルニア州で発付された逮捕状のコピーがあり、令状なしでも逮捕できる相当な理由があった」として、釈放の要求を棄却するよう主張した。

 このためデビッド・ワイズマン裁判官は、今月5日に予定していた予備審問や10日の罪状認否の期日を取り消したうえで、元社長の逮捕や移送手続きに不当性があるかどうかの審理を、別の裁判官の下で改めて開くことを決めた。

 この日の審理は約20分で終了。容疑者用のオレンジ色の服を着た三浦元社長は開廷前、ハンソン弁護士から「元気か?」と尋ねられ、「ファイン(元気だ)」と応じたが、その後はほとんど発言しなかった。

 検察側によると、先月25日の初審理から45日間は元社長の身柄を拘束することが可能。その間に、米カリフォルニア州のシュワルツェネッガー知事名の移送令状がサイパンに届けば、検察側は、北マリアナ自治領政府の知事名の令状も添えて同裁判所に提出し、三浦元社長の身柄をカリフォルニア州に移送する是非について改めて審理するよう同裁判所に求める。

 審理後、主任弁護人のブルース・バーライン弁護士は記者会見し、「今回の逮捕は『一事不再理』の点でも問題がある。移送の取り消しと釈放を勝ち取る自信がある」と述べた。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080225-1331217/news/20080303-OYT1T00349.htm