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2008年03月03日(月) 00時00分

裏金、深く根づいた体質 大阪市朝日新聞

 大阪市東住吉区に端を発した裏金問題は、金額も範囲も広がり、3日の調査報告で4局14区で総額2億5千万円近くに膨らんだ。かつてカラ残業などの不祥事に揺れた市は法令順守を改革の三本柱の一つに掲げ、職員への研修もたびたび行ってきた。だが、こうした市の裏金体質は深く根づき、改革が容易ではないことを浮き彫りにした。

 「あまりにも多方面から発覚した。過去にも裏金があった教育委員会は情けない。職員の意識改革を徹底してやり直したい」。平松邦夫市長は3日、一連の裏金問題について、ぼうぜんとした表情で記者団に語った。

 平松市長は、担当職員が取引業者と二人三脚でつくって管理する「預け金」を特に警戒する。00年に発覚した市教委の裏金づくりも、この「預け金」の手口が使われた。

 担当職員が業者に送らせた架空や水増しの請求書に基づき、市が公金を支出する。本来の請求額との間に生まれた差額分が業者の元に残り、担当部局の「預け金」となる。資金は業者の手元にあり、決済のいらない資金として業者への支払いなどに充てられる。業者との取引が続くことを前提としており、汚職の温床ともなり得る。

 裏金づくりは最も古い部局では87年にさかのぼる。過去に環境局で裏金の通帳を管理していたことがある職員は朝日新聞の取材に対し、課長代理に着任した際、前任者から「リサイクルの作業場を管理する団体への業務委託費の残金だ」と4冊の通帳が入ったファイルを渡されたという。「課長代理になれば資金も引き継ぐのが慣例だった。担当業務の一つだと思っていた」と話す。

 「予算を余らせたら能力に疑問をもたれる」「消化しなければ次年度の予算が削られると思った」——。裏金に関与した職員の多くが、市の調査にこう話している。

 裏金の多くは事務用品購入などに使われたと見られるが、一部は課長級職員へのヤミ手当に使われた疑いもある。

 裏金の使い道が記録された帳簿が残る部局は少ない。住之江区では担当職員が裏金用の帳簿と通帳をシュレッダーにかけていたことも発覚。平松市長は不適正な支出が確認されれば返還を求めていく方針だが、全容解明は簡単ではない。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200803030097.html