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2008年03月02日(日) 02時35分

<厚生年金振興団>天下り情報隠す 最終官職や役員報酬など毎日新聞

 厚生年金会館などを運営する財団法人「厚生年金事業振興団」が、公務員制度改革大綱で定められた天下り役員の最終官職や役員報酬の公開を、独自の判断でやめていたことが分かった。元社会保険庁長官らを役員で受け入れながら、名簿には「学識経験者」と記載。総務省の調査には「公開している」と回答していた。天下りの受け皿となっている公益法人の隠ぺい体質に、批判が集まりそうだ。

 同振興団は▽理事長に吉原健二・元社保庁長官▽常務理事に元厚生省児童家庭局長、元国立医療・病院管理研究所長、元社保庁地方課長−−の計4人が就任している。しかし、最終官職は数年前から非公開にした。

 また、役員報酬は公務員制度改革大綱が01年に閣議決定された後いったん公開していたが、06年4月に「理事長が別に定める」と規定を変え、公開しなくなった。

 同大綱は公益法人に対し、国からの天下り役員の最終官職や、役員報酬・退職金の支給水準などを公開するよう定めた。同振興団総務課は「個人情報保護法ができたので、役員の個人情報を守るため公表をやめた。規定や役員名簿自体は公開しているので、公開と回答した」と説明する。

 ただ、役員報酬については、所管する社保庁の指導を受けて3月1日付で規定を改め、支給水準を明らかにした。それによると、理事長の年間報酬は手当を除く本俸だけで約1300万円、常務理事は同約1100万円。総務省の06年度調査では、国が所管する公益法人の有給常勤役員の平均年間報酬額は、400万〜800万円が約34%で最も多い。

 同振興団は全国で厚生年金会館やウェルサンピア、病院などを運営しているが、06年度決算は約22億円の赤字だった。公益法人の指導監督基準では、常勤理事の報酬は法人の収支状況などと比べて不当に高額にしないよう定められている。

 社保庁企画課は「給与水準だけでなく、最終官職も今後公開するように指導したい」と話している。【板垣博之】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080302-00000011-mai-pol