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2008年02月29日(金) 03時01分

新銀行東京、中小企業融資は5割 存在意義ゆらぐ朝日新聞

 中小企業支援を掲げて東京都が1000億円を出資して設立し、経営難に陥っている新銀行東京で、融資全体に占める中小企業への貸付比率が開業時から年々下がり、昨年9月期決算で5割を割ったことが分かった。高金利で借りづらく、金利の低い他の金融機関に借り換える中小企業も少なくない。都は400億円を追加出資する方針だが、存在意義を問う声も出ている。

 新銀行東京によると、昨年9月期決算での融資残高は2218億円。このうち中小企業への融資は1047億円(47.2%)だった。

 開業1年目の06年3月期決算では、融資残高に占める中小企業分は62.5%だったが、06年9月期は52.2%、07年3月期は51.5%と下がり続けている。

 中小企業側は、10%を超えることもある貸付金利の高さを指摘する。約2200社がつくる東京中小企業家同友会が06年5〜6月に行ったアンケートでは、回答した219社のうち新銀行の融資を受けたのは7社。「新銀行の金利に見合う利益を出せる企業がほとんどない」とみる。

 融資を借り換えるケースも目立つという。大田区のある製造業者は資金繰りに苦しみ、05年ごろ新銀行東京から金利9%で1千万円を借りた。約1年後、大手銀行から「金利7%で」と電話営業があり、借り換えた。「窓口対応は悪くなかったが、金利が高かった」と話す。

 新銀行は05年4月開業時の計画で、中小企業への貸し出しは08年3月末に融資全体の約65%という目標を掲げた。銀行側は「貸出金額は07年3月期までは増えていた。比率は落ちたが中小企業融資中心に変わりはない」と話す。

 新銀行は昨年9月期決算で累積赤字が936億円になり、石原慎太郎都知事は400億円の追加出資案を都議会に提出している。再建策では融資残高を700億円まで減らす計画で、都議会から「中小企業支援は銀行でなく都の制度融資の活用を」との声もあがる。 アサヒ・コムトップへ

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