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2008年02月28日(木) 00時00分

職人(しょくにん)読売新聞


絵・唐沢なをき/文・唐沢よしこ

 職人といえば優れた工芸品を作る、熟練した技術を持つ人のこと。左官職人、家具職人といった使い方をしますが、ネットの中でも似たような意味のスラングとして使われています。

 アスキーアートを作る人ならばAA職人、フラッシュ動画を作る人ならばフラッシュ職人といった具合です。やはり良い作品を作る人々のことなんですが、ネットでは基本的に趣味として作品を作っている人を指します。対価を求めず、無償で自分の作品を公開している人が職人と呼ばれていますワン。たとえばプロのアニメ作家がショートアニメを作って無料で配信していても、職人とは呼ぶ人はあまりいません。

 「お金をもらっているわけじゃないのに、よくこんなプロはだしの作品を作るものだ!」

 という、称賛の意味をこめて職人と言っているのですな。また、職人の中でもイラストを描いている人のことは「絵師」と呼ばれることが多いです。

 もともとネットで使われるようになる前から、職人という俗語はありました。たとえば雑誌の読者欄やラジオ番組によく投稿をしている人は「ハガキ職人」なんて呼ばれていました。けっこう昔から使われていた俗語が、そのままネットにシフトしてきたのですワン。

 ただ、最近は作品を公開しているページに広告を付けて広告料を稼ぐことができたり、商業媒体から声がかかることもあり、職人さんが対価を得る機会は増えています。こうして職人とプロの境はじょじょにあいまいになっていくのかもしれませんなあ。ワンワン。

http://www.yomiuri.co.jp/net/column/yougo/20080228nt01.htm