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2008年02月27日(水) 12時29分

83歳女性から虎の子詐取のリフォーム会社元社員 弁済約束も行方不明に産経新聞

 大阪市旭区に住む身よりのない高齢女性がリフォーム会社の元社員の男(60)に虎の子の貯金20万円をだまし取られた。男は昨年9月、府警旭署が逮捕。公判で女性に弁済を約束し、執行猶予付きの有罪判決を受けた。ところが、2万円を返済しただけで行方をくらました。男の国選弁護人だった弁護士は「私が関与できるのは公判が終わるまで。気の毒としかいいようがない」。女性は「まさか2度も裏切られるなんて」と嘆いている。

 女性は村上米子さん(83)。子供はおらず、30年前に病気で夫をなくしてから1人暮らしを続けてきた。20万円は「もしものときのために」と、年金など毎月約6万円の生活費から少しずつ、2年近くかけて貯金したものだった。

 旭署の調べでは、大阪市登録のリフォーム会社に勤めていた男は平成18年11月末、飛び込み営業で村上さん宅を訪ねた。「ひざを痛めてかがむのがつらい」と話す村上さんに、市の助成制度を利用してトイレを和式から洋式に改修する工事を勧めた。

 この制度は、介護保険で要支援と認定された高齢者に上限30万円まで自宅の改修工事費が助成される。市が工事を請け負った市の登録業者へ直接助成金を支払うため、利用者に直接負担が生じないのが特長という。

 男は申請手続きのために村上さんを区役所に車で送ったり、家主に改修工事の許可を取り付けたりして信用させたうえで、工事が終了した19年2月、「大工に支払う日当を立て替えてほしい。助成金が会社に振り込まれる1カ月後には返す」と持ちかけ、20万円をだまし取った。

 その後、会社側には約30万円が助成金として振り込まれたが、男は20万円を返さず、不審に思った村上さんが警察に相談、事件が発覚した。男はこのほかにも、70〜80歳代の女性5人から計約80万円を詐取し、酒やカラオケなど遊興費に充てたという。

 詐欺罪で起訴された男は昨年11月、大阪地裁で懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決が確定。その後、国選弁護人が村上さん宅を訪れて2万円を渡し、毎月末に2万円ずつ返すと約束したが、男は行方不明になってしまった。

 村上さんは「身よりがなく毎日を不安に過ごしていたので、親切に改修工事を勧めてくれた業者がありがたかった。2度も裏切られるとは思ってもみなかった」と話している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080227-00000923-san-soci