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2008年02月27日(水) 06時02分

ロス市警、新証拠「ノーコメント」…ロス銃撃事件 三浦元社長逮捕スポーツ報知

 1981年に米ロサンゼルスで起きた銃撃事件で、殺人容疑などによりサイパン島で逮捕された会社元社長・三浦和義容疑者(60)について、ロサンゼルス市警が25日午前(日本時間26日未明)、初の記者会見を開いた。同市警は2、3年前から本格的な捜査に着手したことを明らかにしたが、米捜査当局が入手したとされる新証拠など、核心部分については「ノーコメント」を連発。捜査への慎重な姿勢を崩さなかった。

 「切り札は本当にあるのか」—。誰もが知りたい核心部分は明らかにされなかった。三浦元社長の電撃逮捕後、ロス市警による初の会見。「銃撃犯は誰か」「目撃者はまだカリフォルニア州にいるのか」…矢継ぎ早の質問に捜査担当官は「ノーコメント」を連発。「新証拠? そういう報道があることは知っているが言及しない」。会見はわずか19分で終わった。

 殺人などの未解決事件を担当し、この銃撃事件を20年にわたり捜査してきたリック・ジャクソン捜査官やカイル・ジャクソン警視ら3人が登場。午前11時(日本時間26日午前4時)から会見は始まった。今回の逮捕に向けては「この2、3年で本格的な再捜査に着手した」という。

 しかし手の内はほとんど明かさず、慎重な捜査を続ける方針を強調。警視は「我々も逮捕を(米自治領サイパン当局から)知らされたところだと言うことを理解してほしい」とくぎを刺すように語るのみだった。

 今後はロス市警や郡検察が、追訴や起訴手続きを進めていく上で、新たな証拠として何を握っているかが焦点になる。しかし捜査官は、未解決事件の進展に新証拠が必要ではとの指摘に「必ずしもそうではない。関係者から再び事情を聞くことなどに力を入れることもある」と「切り札」の不在をもにおわせた。

 一方で銃撃事件の実行犯は、三浦元社長ではなく「第三者」であると指摘。誰かと殺人を共謀したことが証明できる「共謀罪」を軸にした立件の可能性を示唆した。さらに銃撃の実行犯と疑われ日本で無罪が確定している元駐車場経営者を逮捕する方針はないことも明かした。

 今回の逮捕は88年に出された逮捕状が執行されたと説明。日本の最高裁で無罪が確定しているが、同じ事件で再び罪に問われることがない「一事不再理」には抵触しないと判断したという。

 三浦元社長がサイパンなどにたびたび旅行しているとの情報を得て、逮捕が可能か検討していたと言う。司法手続きが終われば、時間を掛けずに米本土への移送が可能と判断していると言う。

 「たくさんの事件を見てきたが、今回の事件は明らかに重大事件だ」と捜査官。演壇の右側には、事件当時に撮影されたと見られる三浦元社長の写真を張ったボードが置かれ、捜査陣の意気込みを物語った。

 市内中心部にある市警関連施設に設けられた手狭な会見室は、日本メディアを中心とする50人以上の報道陣であふれかえった。

 ◆ロス銃撃・殴打事件 1981年8月、米国ロサンゼルス市を旅行中の三浦和義元社長の妻、一美さんがホテルの自室でハンマーのようなもので殴られ負傷した事件と、同年11月、同市内で頭に銃撃を受け、約1年後に死亡、一緒にいた三浦元社長も左足に重傷を負った事件。84年、週刊文春の連載をきっかけにマスコミが保険金殺人疑惑として報道。警視庁は85年9月、殴打事件の殺人未遂容疑で三浦元社長らを逮捕、88年10月には銃撃事件の殺人容疑で三浦元社長らを逮捕した。殴打事件は98年9月、三浦元社長の実刑判決が確定し、01年1月に刑期満了。銃撃事件は1審で無期懲役だったが、2審は逆転無罪に。最高裁で03年3月、無罪が確定した。事件から約27年後の今月22日、銃撃事件の殺人容疑で、三浦元社長は米自治領のサイパン島で逮捕された。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20080227-OHT1T00097.htm