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2008年02月27日(水) 08時01分

サイパンで逮捕は予想外 三浦容疑者「弁護士は公選で」産経新聞

 【サイパン=荒井敬介】「ロス疑惑」の一美さん銃撃事件で、日本の在サイパン出張駐在官事務所の係官が26日、殺人容疑などで逮捕された三浦和義容疑者(60)と面会。三浦容疑者は係官に対し、「サイパンは米国本土ではないからそういうこと(逮捕など)はないと思った」と、逮捕が予想外だったことを明らかにした。焦点の米本土への移送に同意するかについては「結論は出ていない」と述べた。

 面会は、妻が差し入れを頼んだことから行われ、留置施設での待遇の確認を中心に午後2時(日本時間午後1時)から約1時間にわたり会議室で実施された。テーブルをはさみ係官3人と面会した三浦容疑者は青っぽいTシャツ姿で、ひげはそっていた。「時折笑みも見せリラックスしたように感じた」(係官)

 この中で、三浦容疑者は逮捕当時の心境について「米本土はああいうこと(銃撃事件)があったから避けていたが、サイパンは米国ではないと思っていた」と、米国の警察権が及ばないとの認識だったことを明かした。

 三浦容疑者は25日に地元裁判所で開かれた尋問内容についても言及。「(米本土への移送に関する)同意、不同意の話はすべて日本の弁護団と連絡を取り合っている。結論は出ていない」と明言を避けた。尋問では公選弁護士にするか私選弁護士を雇うかも問われたが、「公選にしたい。金銭的に弁護士は雇えない」と話した。

 妻からの差し入れはTシャツやショートパンツといった衣類、せっけん、たばこやサイパンの観光雑誌2冊など。たばこなどは施設の担当者が管理することになった。

 当初、三浦容疑者は留置施設の環境に不満を漏らしていたが、「外国人でも平等に扱ってもらっている」と満足そうだった。ただ、冷房が強すぎるとし、「どうしてサイパンで寒い思いをしなくてはならないのか」と冗談交じりに話したという。

 面会した係官によると、留置施設は個室で施設内であれば自由に行動が可能。希望すればシャワーも好きな時間に浴びられるほか、外部に電話を自由にかけることができる。この日は健康診断も実施されたが、結果は良好だった。

 留置施設付近では日本から多数の報道陣が押し寄せているが、三浦容疑者は「自分がサイパンに来たことでこんなことになり、留置施設の職員や周辺住民に迷惑をかけているのは心苦しい」とも話したという。

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【用語解説】ロス疑惑

 1981(昭和56)年11月18日、米ロサンゼルス市内の駐車場で、三浦和義容疑者夫妻が銃撃され、約1年後に妻の一美さん=当時(28)=が死亡、三浦容疑者は約1億6000万円の保険金を受け取った。その3カ月前には同市内のホテルで一美さんが頭を殴られ、負傷する事件が発生。昭和59年に週刊文春の連載「疑惑の銃弾」で保険金目当てとして報じられ全国的な話題に。三浦容疑者は疑惑を否定したが、昭和60年9月、殴打事件に絡む殺人未遂容疑で警視庁が三浦容疑者らを逮捕。63年10月には銃撃事件の殺人容疑などで三浦容疑者らを逮捕した。三浦容疑者は銃撃事件の1審で無期懲役の判決を受けたが、2審で逆転無罪となり、平成15年3月、最高裁で無罪が確定。一方、殴打事件では懲役6年が確定し、約2年間服役した。


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