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2008年02月27日(水) 10時41分

学生狙い、ネット広告装うマルチ商法広がる 福岡朝日新聞

 インターネット広告の代理店契約を装った悪質なマルチ商法の勧誘を受けたという学生らからの相談が、福岡市消費生活センターに相次いで寄せられている。「1人入会させるごとに2万円支払う」と誘い、契約金として30万円を支払うよう要求。だが、クーリングオフに応じないなど違法の疑いがあるという。春の入学シーズンにかけて被害が広がるおそれもあり、同センターは注意を呼びかけている。

 相談が寄せられているのは、大阪市内のインターネット関連会社をめぐる事業。同社のポータルサイトに広告を出すという契約を一般の企業からとってくれば、実績に応じて手数料が支払われる「代理店契約」を結ぶ。だが、学生が企業と交渉することは難しく、同社は新たな入会者を紹介した会員に紹介料2万円を支払うだけで、次々に入会金30万円を得られる仕組みとみられる。

 福岡市内の20代の男子学生は1月、友人から「いい話がある」と喫茶店に呼び出された。店では、友人のほかに見知らぬ男性が待っていた。

 男性は「ネット広告の代理店をやらないか」と持ちかけた。「広告が取れなくても、友達を1人入会させれば2万円受け取れる」「これからは格差社会。勝ち組になりたくないの?」。数時間勧誘され、根負けして契約書にサインしようとすると、「入会金30万円が必要」と言われた。

 「お金がない」と断ったが、消費者金融の無人契約機まで連れて行かれた。学生はその場で融資を受けるためのカードまでつくったが、「後で借りて払う」と言って何とか男性と別れたという。

 こうしたトラブルをめぐって福岡市消費生活センターに寄せられた相談はここ1年間で計16件。うち、昨年12月以降に10件が相次いでいる。中には、親からもらった生活費30万円で入会金を支払った後、解約を申し出たが、お金を返してもらえないという学生もいたという。

 同センターによると、マルチ商法自体は違法ではないが、この業者の場合、契約内容の書面を交付しなかったり、特定商取引法に定められたクーリングオフに応じないなど問題があるという。担当者は「友達から熱心に誘われても簡単に契約せず、周りの大人やセンターに相談してほしい」と話す。

 一方、この会社の責任者は取材に「個人から30万円の入会金を受け取って代理店契約を結ぶこと自体がありえない。違法な営業は一切しておらず、何かの誤解ではないか」と説明している。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0227/SEB200802270001.html