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2008年02月26日(火) 21時03分

ロス疑惑「新証拠」…ライフル?DNA?新証言?産経新聞

 三浦容疑者逮捕をめぐる新証拠についてロス市警は言及せず、存否も含めて不明なままだ。被害者の妻、一美さん=当時(28)=の銃撃を裏付ける物的証拠か、それとも実行犯ら共犯者の新たな証言か。どんなものが新証拠として予測できるだろうか。

 物的証拠としてまず考えられるのが、凶器のライフルの発見だ。一美さんに向け発射されたライフルの銃弾は残っており、ライフルが発見されて銃弾の線条痕と一致すれば、実行犯に結びつく可能性は極めて高まる。

 また、事件の発生から27年が経過し、画像解析やDNA鑑定など当時と比べて著しく進展した科学技術が、犯行現場に残された証拠物などの再評価へとつながることも考えられる。

 一美さんが銃撃された際には、実行犯が乗っていたとみられる白いバンが犯行現場で目撃されていた。これと似たレンタカーを借りていた男性が実行犯として逮捕・起訴されたが、裁判では借りたバンと目撃されたバンとが同一でないことなどから無罪が確定した。

 目撃された白いバンについては、三浦容疑者が犯行現場で撮影したカメラのフィルムに白いバンの一部が写っており、技術が向上した画像解析によって白いバンの特定が進展すれば、捜査が進む可能性がある。

 また、ロス市警の未解決事件(コールド・ケース)担当班では過去の強盗殺人事件でも、銃弾に残された微少なDNAの鑑定から容疑者の逮捕に結びつけた実績を持つ。今回の事件でも犯行現場に残された証拠物などのDNA鑑定を行い、新たな証拠を得た可能性も考えられる。

 一方、警察庁幹部は「これだけの時間が経ってから新たな物証が見つかることは常識的に難しいのでは」と指摘。その上で「日本の捜査機関の感覚からすると、犯行に直接関与した人物か、謀議に加わった人物の証言が得られたのではないか」と述べ、新証拠が実行犯ら共犯者の新たな証言ではないかとの見方を示している。

 三浦容疑者の逮捕容疑には殺人に加え、日本の訴因にはない「共謀」が含まれている。金銭目的の殺人を計画した事実が立証できれば有罪に持ち込めるため、ロス市警が新証拠として謀議に絡む新たな証言を得たのでは−とする見方もある。

 ロスへ移送された三浦容疑者を起訴するか否かについては予備審問か大陪審で検討される。大陪審には市民が陪審員として参加するため、早ければ大陪審が行われた段階で、捜査当局側が新証拠の中身を陪審員に示して起訴への支持を仰ぐ可能性が考えられそうだ。

 日本では「新証拠=新たな物証」の発見については慎重な見方が多いが、専門家の中には「日本で無罪となった事件がもう一度無罪にしたら、ロス市警にとって大失態になる。有罪へ相当の自信があるのではないか」(椎橋隆幸・中央大教授=刑事法)という指摘もある。

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