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2008年02月26日(火) 16時07分

三浦容疑者逮捕 2、3年前から本格捜査 ロス市警、新証拠言及せず産経新聞

 【ロサンゼルス=松尾理也】米ロサンゼルスで1981(昭和56)年に起きた銃撃事件で、殺人と共謀の容疑で会社役員、三浦和義容疑者(60)を逮捕したロサンゼルス市警が25日午前(日本時間26日未明)、記者会見した。2、3年前から本格的な捜査に着手していたことを明らかにし、捜査当局が入手したとされる新証拠の有無については言及しなかった。

 会見したのは、同市警未解決事件担当班を指揮するリック・ジャクソン捜査官。同捜査官は、今回の逮捕が、三浦容疑者が日本で銃撃とは別の「殴打事件」で公判中だった1988(昭和63)年5月に発行された逮捕状によるものとし、「この逮捕状は発行後、有効であり続けており、新たな証拠がなくても逮捕は可能」と述べた。

 そのうえで、「サイパンを頻繁に訪問しているとの情報をつかんだので、現地と協力して逮捕に踏み切った」と説明。今回の執行に向け、サイパンやグアムの司法当局も交え検討を重ねてきたことを明らかにした。

 なんらかの「新証拠」の発見が、今回の逮捕に結びついたのではないかとの質問には、「その件についてはコメントしない」と回答。「確かに(米連邦捜査局が日本の警察庁に新証拠の存在を告げたという)報道があったのは承知しているが、必ずしもそのとおりとはいえない」と、「新証拠が存在する」ということを肯定も否定もしない微妙な言い回しをした。

 一部に、三浦容疑者が最近、ロサンゼルスを訪問していたという報道があることについては、「訪問はありえないとはいわないが、情報はない」と述べた。また、無罪が確定している日本からの身柄引き渡しが不可能であることから、サイパンなど日本の領土外での逮捕の可能性を探っていたことを明らかにした。

 現在、三浦容疑者が拘束されている米自治領サイパンからの移送時期については、具体的な見通しはたっていないとした上で、来月初めに複数の予備審理日程がサイパンですでに入っていると指摘、移送までまだしばらく時間がかかる可能性を示唆した。

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【用語解説】未解決事件担当班

 米国の法律では殺人罪に時効はないため、各警察に編成されている。ロサンゼルス市警では強盗殺人課の27人が所属している。ロス市警が抱える未解決事件は1960年から現在まで約8000件にのぼる。捜査には未解決と断定されるまで事件にかかわった検事らも協力者として加わり、これまで見落とされた証拠や証言がないかを見直す。必要に応じて科学面の捜査も行うという。捜査の優先度は逮捕状が出ているかや、事件の難度などを基に決められる。未解決に分類されない事件でも捜査に進展が見られないケースでは時間や捜査員を有効に活用するため、同班に委ねられることもある。

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