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2008年02月26日(火) 03時47分

三浦元社長「新証拠あるはずがない」、弁護士に電話で連絡読売新聞

閉廷後、部屋を出る三浦容疑者。右は妻の良枝さん(25日、サイパン島・北マリアナ上級裁判所で)=三輪洋子撮影

 27年前のロス疑惑「一美さん銃撃事件」で無罪が確定した元輸入雑貨会社社長、三浦和義容疑者(60)について、ロサンゼルス市警が昨秋から、サイパンの司法当局に逮捕を要請していたことが明らかになった25日、日本で弁護を担当した弁護士は記者会見で「(三浦元社長を)起訴できるとは思っていない」と強調した。

 一美さんの殴打事件にかかわったとして逮捕されてから、通算で約15年も刑事施設に収容されていた三浦元社長。ロサンゼルスへの移送手続きは3月上旬以降にずれ込む見通しで、決着が長引く可能性が出ている。

 一美さん銃撃事件で弁護人を務めた弘中惇一郎、喜田村洋一両弁護士は25日、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見し、「起訴が出来るかどうかも疑問で、有罪になるはずはないと思っている」と語った。

 両弁護士は、三浦元社長がサイパンで22日に逮捕されてから、23〜25日に計6回、電話で連絡を取った。電話口の三浦元社長は「何とか早く出たい」と突然の逮捕に納得のいかない様子で、逮捕初日はベッドもトイレもなく、コンクリートの箱のような部屋に入れられ、毛布もなかったことなどを訴えた。

 現在はベッドやトイレのある別の部屋に移ったため、比較的元気で、「新証拠がある」と日本で報道されていることを伝えると、「あるはずがない」と落ち着いて話したという。

 三浦元社長が昨年末、米国の捜査当局に事件を説明するため、ロサンゼルスを訪れたと報道されていることについて、弘中弁護士は「ロスに行ったのは事実と思うが、彼の英語力からして警察に説明することはありえない」と述べた。

 さらに弘中弁護士は「日本で捜査すると決めて最高裁で無罪が確定している事件。米国側が日本に捜査協力を求めてきても応じるべきではない」と指摘。

 法務省や警察庁に捜査協力の要請に応じないよう申し入れる考えを示したうえ、「現地の弁護士を通じ、ロサンゼルスの捜査当局に起訴しないよう申し入れるなど、ロサンゼルスで決着をつけるしかないと思っている」と語った。

 ◆予備審問は3月5日に予定

 【サイパン=稲垣収一、山下昌一】北マリアナ上級裁判所のデビッド・ワイズマン裁判官は25日、三浦元社長の保釈を認めない決定を出すとともに、元社長の「予備審問」を3月5日に、「罪状認否」を10日に行うことを決めた。

 米国の刑事手続きに詳しい弁護士によると、予備審問は、検察側が提出した証拠などを調べ、正式裁判が可能かどうかを審理する手続き。今回の予備審問と罪状認否は、サイパンの法律が、逮捕後すみやかに開くよう義務付けているため期日が決まったが、移送が認められた場合はロサンゼルスでやり直すことになる。

 検察側は予備審問で逮捕手続きの妥当性を示すため空港警察の担当官らを証人として招くというが、一美さん銃撃事件の新たな証拠類は開示されない見通し。

 北マリアナ司法省も25日、三浦元社長のロサンゼルスへの移送手続きを近く始めることを明らかにした。カリフォルニア州知事から身柄の移送を求める文書が週内にも届き次第、裁判所で移送に関する審理を要求する。三浦元社長が移送に応じない場合は手続きが長引く可能性もある。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080226-OYT1T00158.htm