記事登録
2008年02月25日(月) 03時11分

農産物取り込み詐欺6000万円、ネット公開の農家標的読売新聞

 インターネットで情報を公開している有機栽培農家などに電話し、少量の取引で信用させた後、大量注文して代金を踏み倒す取り込み詐欺被害が、33道府県で63件あることが、日本農業法人協会と読売新聞の調べでわかった。被害総額は約6000万円で、鹿児島、福岡両県警は悪質な詐欺事件とみて捜査している。

 同協会が、加盟する約1700の農業法人に疑わしい電話注文などについてアンケート調査したところ、熊本、新潟、秋田、富山など30道府県で53件(総額約5500万円)の被害が出ていた。読売新聞の調べでも、福岡、鹿児島など4県で計10件(約500万円)の被害が確認された。

 被害は2003年ごろから出始め、06年に12件、07年は29件と急増。農産物別では米20件、果物類12件、肉・卵8件など。最も被害額が大きかったのは京都府の茶業者で、04年に1200万円分をだまし取られた。400万円近くだまし取られた熊本県の農家は廃業に追い込まれた。

 手口は有機栽培農家などに、東京の食品加工業者などを名乗る男から「ホームページを見て知った」「品評会で拝見した」と電話がかかり、「まずサンプルを送ってほしい」と少量の取引をして信用させる。その後に大量注文して品物を受け取るが、「会社が倒産した」などとして代金を踏み倒す。

 農産物の送り先として指定される住所の大半が東京都内で、社名は異なるが手口が似ていることから、両県警は同一グループの可能性もあるとみている。

 同協会によると、最近は20万〜30万円といった小口の注文を重ねる手口が多く、農家の泣き寝入りを狙っているとみられる。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080225-OYT1T00013.htm