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2008年02月25日(月) 11時24分

ロス疑惑再燃報道ツカサネット新聞

ロス疑惑と呼ばれ2003年に無罪が確定した三浦和義氏がサイパンで身柄を拘束されたというニュースに驚いた。サイパンは米国の領土ではなくプエルトリコなどと同じく、日本語では自治領と表現される、いわゆる属領である。

日本では既に2003年に無罪が確定した殺人疑惑について、ロス市警がいまだに捜査を継続していた、あるいは彼が出国するのを事前に察知したということは、現在に至るまで監視を続けていたのではないかといった穿った報道があったが、さすがにこれには大きな疑問を感じざるを得ない。

いまでも三浦氏の名前が米国ならびに米国自治領に殺人事件の被疑者としてファイルされており、氏がサイパンに入国した事実が米国に連絡された。日本では殺人事件の時効は25年と決められている。しかし米国は殺人事件に関しては時効がないため、担当部署が削除しない限り永遠にリストに掲載される。

その連絡を受けたロス市警が捜査記録を確認し、被疑者の身柄を拘束して起訴するのが相当との判断を下し、サイパン当局に身柄拘束を依頼した、というのが妥当な推測ではないか。米国で発生した明確な殺人事件でありながら、米国では一度も裁判が行われておらず、結果はともかくも審議しようというだけに過ぎない気もする。現時点では何の確証も無いが。

日本と米国の間には犯罪人引渡し条約があるが、被疑者が日本国籍を持ち、日本で同一事案に対する裁判が進行中であったり、日本における裁判で無罪が確定している場合は、米国側から引渡しの要求があっても日本側は犯罪人として引き渡す理由が無い。従って米国側は被疑者が日本国内、あるいは米国法の及ばない国にいるかぎり逮捕できないものの、米国領、あるいは米国の統治領であれば、日本における裁判の結果に関わらず、あるいは事件後何年経過したかに関わらず被疑者を拘束できる。

また日本の裁判では本人が実行犯であることを確証を持って立証しなくてはならないが、アメリカでは共謀事件であることが立証されれば必ずしも本人が実行犯であることを立証する必要は無いということのようだ。しかも米国の裁判は陪審員制だ。日本のように必ずしも確証がすべてというわけでもない。確証がすべてであれば陪審員など必要ない。しかし、過去に日本で無罪判決を受けた日本人が海外で有罪になった例があるのかどうかは知らないが、法的にはじゅうぶんの
可能性があることを今回の件で知った。

今回、氏の身柄がロス市警に送られたところで正式起訴に至るのかどうかは現時点では不明だ。また裁判が行われたところで有罪になるのか無罪になるのかも現時点ではまったく判断材料がない。事実は本人のみが知りえるものだ。少なくとも日本の法律では三浦被疑者の無罪が確定している。矛盾するようだが、たとえ米国で有罪になったとしても、日本では明白に無罪なのだ。日本人を保護するのが日本国憲法の精神とすれば、どの時点で行うのかどうかは別として、日本で無罪が確定している三浦氏の身柄引き渡しを米国側に求めるのは日本政府が取るべき当然の行動だろう。すなわち先行きはまったく不明なのだ。

それを推論や一方的な仮定を前提として報道するのが不適切であることは言うまでもない。最近の殺人事件でも同類の、いかにも不適切と思える報道が多々見られた。今回の三浦氏身柄拘束報道はいかにもマスコミが飛びつきそうな事案だけに、それを心配する。いったん広まった風評被害などというものは取り戻せないことが殆どだし、裁判に対する論評などというものは結果が出てからするものだ。

個人の興味や感情、あるいは想像といったものと真実のみを伝えるべき報道とは明確に一線を画してしかるべきものだ。興味本位の報道や言論の暴力を繰り返してはならない。







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(記者:ヴァニラパパ)

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