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2008年02月24日(日) 10時28分

報道先行で逮捕、無罪確定 ロス銃撃の三浦容疑者中国新聞

 サイパンで逮捕された三浦和義容疑者(60)は、二十七年前のロス事件で悲しみに暮れる夫の姿をカメラの前で見せ、注目を集めた。その後事件の黒幕として週刊誌などの疑惑報道が先行、逮捕された。日本の裁判では、銃撃事件についての無罪が確定している。

 一九八四年一月、週刊文春が「疑惑の銃弾」とのタイトルで連載をスタート。保険金殺人疑惑として、テレビのワイドショーや雑誌、全国紙など日本中のマスコミを巻き込んだ報道が繰り広げられた。

 発生から四年後の八五年九月、一美さん殴打事件での殺人未遂容疑で、七年後の八八年十月には銃撃事件の殺人容疑で、警視庁が三浦容疑者を逮捕した。

 三浦容疑者の関与の事実を示す決定的な証拠がなく、検察側は状況証拠を積み重ねて立証。殴打事件では、懲役六年の判決が九八年に確定し、刑期を満了する一方で、銃撃事件の裁判は紆余(うよ)曲折をたどった。

 「強盗に襲われた」と三浦容疑者は主張し、銃撃の実行犯とされた男性は「現場には行っていない」と無罪主張。一審の東京地裁は九四年、実行犯を「氏名不詳の第三者」とする異例の認定で男性に無罪、三浦容疑者に無期懲役を言い渡した。

 これに対し、二審の東京高裁は九八年「三浦容疑者の関与を疑わせる状況はあるが、共犯者との謀議や実行犯が全く解明されていない」などとして逆転無罪とし、最高裁が検察側の上告を棄却した二○○三年、三浦容疑者の無罪が確定した。

 三浦容疑者は刑事裁判で争う一方、疑惑報道で名誉を傷つけられたとして新聞、通信、放送、出版の各社を相手に数百件に及ぶ損害賠償請求訴訟を起こし、多くで勝訴していた。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200802240112.html