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2008年02月23日(土) 03時01分

イージス艦、事故の船見失う? 緑灯、僚船の可能性朝日新聞

 海上自衛隊のイージス艦「あたご」とマグロはえ縄漁船清徳丸の衝突事故で、衝突2分前にあたごの見張り員が見た緑色の灯火について、第3管区海上保安本部が、清徳丸とは別の僚船の可能性があるとみて調べていることが22日、わかった。あたごは緑の灯火をみて後進に切り替える回避行動をとっており、清徳丸の動きを見失い、衝突につながった可能性がでてきた。3管は当時の状況について当直隊員らから事情を聴いている。

衝突前後のイメージ

 船の左舷には赤い灯火、右舷には緑色の灯火の設置が義務づけられている。しかし、3管の調べで、あたごは清徳丸の左舷に衝突したことがほぼ断定されている。3管は、衝突直前にあたごが清徳丸の灯火を見たとしたら、左舷の赤でなければ不自然とみている。

 これまでの防衛省の説明では、19日午前3時55分、清徳丸の左舷と見られる赤い灯火をあたごの見張り員が確認した。衝突2分前の午前4時5分に、同じ見張り員が右前方の緑色の光に気づいた。当初は何かわからなかったが1分後、速度を上げたため漁船と気づき、全速後進をかけたが衝突したとしている。しかし、同省関係者には「12分前から見えた灯火がすべて同一の船かどうかは断言できない」との見方もある。

 また、清徳丸の後ろを航行していた金平丸があたごを避けるため、いったん右にかじを切り、その後左に大きく旋回したことが確認されている。清徳丸の僚船の船長らの説明では、船団の中であたごの前方で右舷側を見せたとみられるのは金平丸だけで、見張り員が衝突2分前に見た緑色の灯火は、金平丸の右舷灯だった可能性もある。同船の市原義次さんも記者会見などで「自分の船の青(緑)灯が見えた可能性がある」と話した。

 そうなると、船団に突っ込む形で進んだあたごは、金平丸よりも手前にいた清徳丸に気づくのが遅れ、回避が間に合わなかったことになる。

 確認するためには、清徳丸の航跡を確認する必要があるが、清徳丸から回収した全地球測位システム(GPS)は海水につかったために解析できない可能性が高い。

 このため、3管は、あたごから押収した航海日誌や乗組員の供述、清徳丸の僚船船長らの話を聴き、あたご、清徳丸双方の動きを特定する方針だ。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0222/TKY200802220315.html