記事登録
2008年02月23日(土) 15時09分

複数大学で共同学部 文科省、設置基準改正へ朝日新聞

 文部科学省は複数の大学が教員や施設を出し合って授業を行い、各大学連名の学位を授与する「共同学部」「共同大学院」を作れるように大学設置基準を改正する検討を始めた。28日の中央教育審議会(文科相の諮問機関)の部会で改正の方針を説明。08年度中に基準を改正し、10年度からの新制度スタートをめざす。

 「大学全入時代」を迎え、私立大の4割が定員割れするなど大半の大学が学生集めに苦しんでいる。だが、特徴ある学部を作ろうとしても、単独では教員や設備の面から限界がある。一方、有力大学にとっても、補助金が減らされる中、多様化する研究分野に対応して単独で学部や大学院を次々と増やすのは難しい。特に地方の学生は地元に特徴ある学部や大学院が少なく、進路の選択肢が限られてしまっていた。

 このため、学生にとって魅力のある学部や大学院を複数の大学が共同で設置できるよう、制度改正を求める声が強まってきた。

 改正のポイントは学生の所属と学位の扱い。現行でも可能な「連合大学院」は大学院博士課程に限られるうえ、学生は一つの「主幹校」に所属し、授与される学位も主幹校のもの。このため、主幹校以外の大学には「同じ苦労をしても評価されない」との不満があった。今回の改正では、共同学部・大学院の学生は参加する全大学に所属し、学位は各大学連名で授与する形を検討している。

 実現の際に問題となりそうなのが、授業料などの納付金の扱いと入試の方法。この点について同省は「国が細かく基準を決めると、連携の組み合わせを制限することになる」などとして、連携するグループごとに調整してもらう方針だ。

 基準が改正されると、早い段階で実現に動きそうなのが、国立の神戸大と私立の神戸薬科大だ。創薬研究や、薬剤師を含めたチーム医療の教育を進めたい神戸大に対し、薬剤師養成を主眼に置き薬学部を6年制にした神戸薬科大は臨床教育を充実させることをめざす。神戸大の千原和夫医学部長は「学部設置の仕組みが自由になることは歓迎だ。入試や授業料についての仕組みは慎重に検討する必要があるが、将来は共同で『生命創薬科学部』のような学部の設置をめざしたい」と話す。

 ほかにも大阪府の関西、大阪薬科、大阪医科の3大学は生命科学分野の学部を共同で設置すると表明。東京都の日本女子、大妻女子、実践女子、昭和女子、東京家政の5大学も共同で教職大学院を設置する検討を始めている。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0223/TKY200802230211.html