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2008年02月23日(土) 03時18分

国交省キャリア職員2人を逮捕 予定価格漏らした疑い朝日新聞

 国土交通省が発注した国営飛鳥歴史公園(奈良県明日香村)の防災工事をめぐる談合事件で、大阪地検特捜部は23日未明、国交省の幹部候補採用のキャリア職員2人が、受注業者に非公表の予定価格を漏らしたとして、元同公園事務所長で同省公園緑地課企画専門官の高松正彦容疑者(43)=東京都国分寺市=ら2人を競売入札妨害(偽計)の疑いで逮捕した、と発表した。容疑を認めているという。

事件の舞台となった国営飛鳥歴史公園・甘樫丘地区=奈良県明日香村で、本社ヘリから

 他に逮捕されたのは、独立行政法人・都市再生機構職員の上島晃嗣容疑者(52)=東京都北区。

 調べによると、高松容疑者は05年7月の「甘樫丘(あまかしのおか)地区」防災工事の入札にあたり、非公表の予定価格が5200万円をわずかに上回ることを受注業者「槙峯建設」(奈良県高取町)社長の槙峯和也容疑者(67)=競売入札妨害(談合)容疑で再逮捕=に事前に漏らした疑い。上島容疑者と槙峯社長の求めに応じたという。ほかの入札参加業者9社が予定価格を上回る入札価格を示すなか、槙峯建設は予定価格より7万円安い5200万円(落札率99.86%)で受注した。

 高松容疑者は入札実施の数日前まで約2年間、所長職を務めた後、人事異動で離任した。上島容疑者は槙峯社長と親しく、高松容疑者に社長を紹介したとされる。

 特捜部は、再逮捕した槙峯社長が「元所長から予定価格を聞き出した」などと供述したことから、高松容疑者が在任中に決まった予定価格を槙峯社長に教え、槙峯社長が主導した業者間談合の成立を助けた疑いがあるとみて、22日朝から高松容疑者ら2人の事情聴取をしていた。

 高松容疑者は87年、技官として旧建設省に入省。都市計画課課長補佐などを経て、本省の現職にある。上島容疑者も79年入省の技官で、国交省公園緑地課緑地環境推進室長などを務めた。ともに国家公務員1種(旧上級甲)試験に合格したキャリア職員で、公園緑地課で先輩と後輩の関係にあったという。

 飛鳥歴史公園は高松塚や石舞台、キトラなどの古墳周辺5地区からなる。事件の舞台になった甘樫丘地区は蘇我蝦夷(そがのえみし)・入鹿(いるか)親子の邸宅があったとされる。

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