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2008年02月23日(土) 06時09分

無期3人、死刑2人 2人射殺事件で最高裁判事割れる朝日新聞

 無期懲役が3人、死刑相当が2人——。男性2人を射殺した被告の上告審決定で、最高裁第一小法廷(涌井紀夫裁判長)の5人の判断が二つに分かれた。死刑かどうか、裁判官の意見が分かれるのは極めて異例だ。

 市民が参加する裁判員制度が来春始まるが、死刑の決断が極めて難しいことが懸念されている。決定書の中で才口千晴裁判官は「裁判員制度実施を目前に、死刑と無期懲役との量刑基準をできる限り明確にする必要がある」との問題意識を表明した。

 判断が分かれたのは強盗殺人などの罪に問われた暴力団組員・岡田孝紀被告(29)の上告審で決定は20日付。福島県いわき市で03年、同じ暴力団の関係者2人を射殺して約30万円を奪ったなどとして一審、二審とも無期懲役とした。

 検察側の上告に対し、涌井、泉徳治、横尾和子の3裁判官の多数意見は「一般市民を巻き込んでいない。自ら警察に出頭して大筋で認めている」など有利な事情を列挙、無期懲役を支持した。

 甲斐中辰夫、才口の両裁判官は「暴力団関係者同士の事件」という理由で有利に酌量される実情に疑問を投げかけた。過去の判断基準と判例に照らすと死刑が相当だとする一方、死刑を回避する特別な事情があるか審理を尽くすため、高裁に差し戻すべきだとした。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0222/TKY200802220316.html