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2008年02月23日(土) 03時18分

横浜事件「免訴」が確定へ 最高裁で3月14日に判決朝日新聞

 戦時中最大の言論弾圧事件とされる「横浜事件」で、最高裁第二小法廷(今井功裁判長)は、治安維持法違反で有罪が確定した元被告5人(全員死亡)の再審の上告審判決を3月14日に言い渡すと決めた。一審・横浜地裁が同法廃止などを理由に裁判手続きを打ち切る「免訴」を言い渡し、二審・東京高裁は「免訴判決に対し、被告側は控訴できない」と元被告側の控訴を棄却した。最高裁が結論を見直すのに必要な弁論を開いていないため、元被告側の上告が棄却され、免訴が確定する見通し。

富山県の旅館「紋左」の庭で1942年7月6日に撮影された写真。横浜事件の「証拠」とされた。前列左から2人目が木村亨さん=複写、「紋左」提供

 元被告の遺族と弁護側は「無辜(むこ)の救済」という再審制度の理念に照らし、無罪判決を出すよう強く求めていた。形式的な判決にとどめずに事件の位置づけなどに踏み込むかどうか、元被告らの名誉回復についてどんな言及をするかが焦点だ。

 再審は元中央公論出版部員の故・木村亨さんら5人の遺族が請求した。再審を開くことを決めた05年3月の東京高裁決定は、元被告らの自白を拷問によるものだとし、「無罪を言い渡すべき新証拠がある」と認めた。

 しかし、06年2月の再審の一審判決は「免訴の理由がある場合、実体審理をすることも、有罪無罪の判断も許されない」とした最高裁大法廷の判例を踏襲。免訴の判決を受けた者にも刑事補償などが認められ、名誉回復などの利益は損なわないと述べた。

 5人は「共産主義を宣伝した」などとして45年8〜9月に懲役2年執行猶予3年の判決を受けた。同年10月に治安維持法が廃止されたため、恩赦の一種である「大赦」の対象となり、有罪判決は効力を失った。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0222/TKY200802220224.html