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2008年02月23日(土) 03時05分

全国養護福祉会、違法募集に業務停止命令 金融庁朝日新聞

 金融庁は22日、公的介護保険でまかないきれない分を補完する共済などを販売していた「全国養護福祉会」(東京都新宿区、会員2万4000人)に対し、新規契約の締結や募集を3月末まで禁じる業務停止命令を出した。昨年末に出した業務改善命令に従わず、今年に入ってからも保険業法に違反して掛け金を集めていたため。業務改善計画の提出を求める業務改善命令も同時に出した。

 全国養護福祉会のような団体は「無認可共済」と呼ばれ、規制法も監督官庁もないまま制度の枠外に置かれていたが、06年の保険業法改正でまず募集方法などに規制の網がかかった。次のハードルは業態の転換で、3月末までに(1)保険業者になる(2)少額短期保険業者になる(3)契約を他社に移し、自らは廃業する——のいずれかを選ばなくてはならない。

 だが、全国養護福祉会は4月以降の方針を今なお決めず、既存・新規の契約者に明確な説明もせずに共済の募集を続けていた。金融庁は「(こうした行為を)放置すれば、保険契約者保護の観点から重大な問題につながる」と判断し、業務停止命令に踏み切った。同福祉会が現状のまま4月以降も募集を続けた場合には「刑事告発の対象にもなる」としている。

 「無認可共済」への業務停止命令は、突然営業を停止して破綻(はたん)した「ベルル生命医療保障共済会」に06年10月に出したのに続き2例目。

 ■幻?のロボット介護うたい募集重ねる

 金融庁から業務停止命令を受けた「全国養護福祉会」は、実現可能性の低い「ロボットによる全自動介護施設の建設」をうたって共済の会員募集を重ねていた。同会は「現在は計画を保留しているだけ」と実現に自信を見せるが、提携先のゼネコンとロボット開発会社は「計画はすでに立ち消えになった」と食い違う説明をしている。

 全自動介護施設について、同福祉会の早川一男代表社員は、07年の雑誌インタビューなどで「岡山県に完成する予定」「10階建てで100人収容」「排尿、排便は寝たままで。入浴もベッドごとベルトコンベヤーで浴室に移動」と発言。ロボットが高齢者を介護しているデザインの広告やポスターをつくり「安心の全自動介護を目指します」とうたっていた。

 昨年末からは「全自動介護施設建設キャンペーン」と銘打ち、会員募集活動を展開。募集を担う協力員への報酬もアップするなど組織をあげて営業攻勢をかけていた。

 しかし、建設の協力企業として同福祉会が内外に説明していた大手ゼネコンやロボット開発会社は、朝日新聞の取材に「2年前から検討したが、1年前に対応を中止した」「計画は検討のみで、すでに立ち消えになっている」などと回答。ともに現時点での協力関係を否定した。

 これに対し、全国養護福祉会は「全自動介護施設は20年来の目標で、決して中止したわけではない。あくまで07年春から保留しているだけ。広告やキャンペーンなどでうたうことは問題ない」と話している。 アサヒ・コムトップへ

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