記事登録
2008年02月23日(土) 21時28分

三浦和義元社長を逮捕 ロス警察、81年に妻殺害容疑朝日新聞

 米ロサンゼルス市警は23日、1981年11月にロサンゼルス市内で妻を殺害した疑いで、元雑貨輸入販売会社社長の三浦和義容疑者(60)が22日午後、殺人などの容疑で米自治領サイパン島で逮捕されたことを発表した。妻の一美さん(当時28)が銃撃され殺害されたこの事件では、三浦元社長は日本では無罪が確定している。

2003年3月、記者会見に臨む三浦和義元社長(中央)=東京都千代田区で

 ロサンゼルス市警は、三浦元社長がグアム島かサイパン島を旅行する可能性があるとみて、グアム、サイパン両捜査当局と協力していた。同市警はサイパン当局に三浦元社長の身柄をロサンゼルスへ送るよう求め、そこで裁判が始まる見込み。

 サイパンの地元警察によると、三浦元社長はサイパン国際空港で22日、日本からの飛行機を降りた直後に逮捕されたという。空港では警察官約10人が待ち受け、逮捕について告げたところ、三浦元社長は驚きながらも冷静な様子で、「日本ではこの事件はすでに終わったことだとみんな知っている」と話したという。日本の領事館と連絡する権利があることを伝えたところ、三浦元社長はそれを希望したという。

 ロサンゼルスの司法関係者によると、カリフォルニア州法では凶悪殺人など重罪に時効はなく、古い事件でも一定の証拠がまとまれば逮捕することがある。この事件は、ロサンゼルス市警の強盗殺人課の未解決事件専門チームが担当している。

 〈事件の経緯〉 三浦和義元社長は、1981年に米国ロサンゼルス市内で妻の一美さん(当時28)を銃撃して殺害、多額の保険金をだまし取ったとして警視庁に逮捕され、殺人などの罪に問われた。捜査当局の動きに先立って「週刊文春」が84年初め、一連の経緯を「疑惑の銃弾」として連載。元社長のメディア露出と併せて世間の耳目を集め、「疑惑」という言葉は同年の流行語大賞の銅賞にもなった。

 事件は、物証や自白など犯行を裏付ける直接証拠がなく、実際に銃撃をしたとされる「共犯者」は誰かが、焦点になった。検察側は88年の起訴以来、「共犯者は(元社長の取引業者だった)元駐車場経営者だ」と主張。これに対し、一審・東京地裁は元経営者を無罪とする一方、共犯者は「氏名不詳の第三者」であるとして元社長を無期懲役とした。

 しかし、元社長は控訴審の東京高裁で逆転無罪に。検察側が上告したが、最高裁第三小法廷は03年3月、上告を棄却する決定をした。同法廷は「元社長が氏名不詳者と共謀して元妻を殺害したと認めるには、なお合理的な疑いが残るとした高裁判決は是認することができる」と述べた。事件発生から20年以上を経て、元社長の無罪が確定した。

 逆転無罪判決を受けて元社長はいったん釈放されたが、銃撃事件の3カ月前に、知人の女性に一美さんを襲わせ、殺害しようとしたとされる「殴打事件」に絡んだ殺人未遂罪で98年10月、懲役6年の実刑判決が確定。同年11月に収監され、未決勾留(こうりゅう)日数を差し引いた約2年2カ月の服役を経て01年1月に宮城刑務所を出所した。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0223/TKY200802230363.html