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2008年02月22日(金) 23時11分

アシアナ航空機が無許可離陸 福岡空港朝日新聞

 22日午後0時11分ごろ、福岡空港(福岡市)の滑走路で離陸待機していた韓国・仁川(インチョン)行きのアシアナ航空131便(エアバスA330型機、乗員乗客153人)が管制官の許可なしに滑走を始めた。前方に別の航空機がなかったため管制官はそのまま離陸させた。ほぼ同時に並行する誘導路からヘリコプターが離陸し、滑走路を横切る方向に飛ぼうとしていたが、管制官の指示で経路を変え、アシアナ機との接近は避けられた。

  

 国土交通省は、アシアナ機の操縦士がヘリに対する離陸許可を聞き間違えたとみて同社に説明を求めている。管制指示に従わなかった航空法違反の疑いがあるが、滑走中のアシアナ機と浮上後のヘリが衝突するような切迫した状況ではなく、同省の航空・鉄道事故調査委員会の調査対象となる「重大インシデント」(事故の起きるおそれがあった事案)にはあたらないとみている。

 同省によると、管制官は誘導路に待機していた西日本空輸(本社・福岡市)のヘリに「西へ向かって離陸せよ」と許可を出した。ヘリの離陸とほぼ同時に、600〜700メートル離れたところからアシアナ機が滑走を始めた。

 管制官はヘリとアシアナ機が接近しすぎるおそれがあるとみて、ヘリに対して「滑走路に近づかず、並行して(南に)飛べ」と指示を変更。ヘリは滑走路から約200メートル離れて並行する誘導路上空を進んだ。アシアナ機については急停止させるより離陸させた方が安全と判断したという。

 管制官がヘリに離陸許可を出した際は無線が混信して応答が聞き取れない状況だった。管制官の指示に誤りがなかったことは録音記録でわかっており、同省は指示の聞き間違いに混信が関係していた可能性もあるとみている。

 アシアナ航空日本地域本部(東京)の広報担当者は「原因は調査中。情報を精査して国交省に報告したい」と話した。

 北海道の新千歳空港では今月16日、吹雪で視界が悪いなか、着陸後の航空機が滑走路を走行していたのに、日本航空機が無許可で離陸滑走を始めて急停止するトラブルがあったばかり。訓練中だった日航機の副操縦士候補者が管制指示を聞き間違えたとみられている。航空・鉄道事故調査委員会は衝突事故が起きかねなかった重大インシデントとして調べている。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0222/TKY200802220236.html