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2008年02月22日(金) 17時23分

漁師父子の捜索範囲拡大へ 海保「漂流の可能性も」朝日新聞

 千葉・南房総沖でイージス艦「あたご」と漁船の清徳丸が衝突した事故から4日目を迎えた22日午前、懸命の捜索にかかわらず、漁師の吉清(きちせい)治夫さん(58)と長男哲大(てつひろ)さん(23)の行方は依然として分からないままだ。無事を祈り続ける親族や漁師仲間にも焦りが募っている。

 「現場についたら治夫、哲大って名前を呼んでやって」

 22日午前3時ごろ、清徳丸の母港、千葉県勝浦市の川津漁港。治夫さんのおばの板橋よし子さんの声が響く中、漁船が次々と捜索に向かった。新勝浦市漁協から52隻、勝浦漁協から6隻の計58隻。20隻は、海中をさらうためにステンレス製のハリに重りを付けた道具を積み込んでいた。一人が「誰が(手法を)発案したかはわからない。(何か)ひっかかってくれればという思いだ」と言った。船が出てから5時間。港に集まった女性たちが海に向かってお経をとなえ始めた。

 海上保安庁や海上自衛隊からも21日夜までに延べ約40隻が出動、上空からの捜索も続く。だが、これまでに回収されたのは、治夫さんのグレーのウインドブレーカーや船舶検査証書、木片や繊維強化プラスチックの破片などで、2人の発見には結びついていない。かじをとるためなどに人がいるはずの操舵(そうだ)室も見つからないままで、第3管区海上保安本部は「操舵室が漂流している可能性がある」として、さらに捜索範囲を広げる方針だ。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0222/TKY200802220199.html