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2008年02月22日(金) 00時51分

「寒い寒いって2人が…」親族、防衛相に怒りぶつける朝日新聞

 清徳丸の船員、吉清(きちせい)治夫さん(58)と長男哲大(てつひろ)さん(23)が行方不明になって3日目。2人の親族や地元の関係者は、千葉県勝浦市を訪れた石破防衛相に怒りや不信の思いをぶつけた。

外記栄太郎・新勝浦市漁協組合長(右)を訪ねた石破防衛相=21日午後3時51分、千葉県勝浦市で、代表撮影

 同市の新勝浦市漁協川津支所前には、近くに住む人や大勢の報道陣が集まった。治夫さんのおばで支所の向かいに住む板橋よし子さん(78)ら親族は、厳しい表情を浮かべながら、落ち着かない様子だった。

 到着を待つ板橋さんは「治夫たち2人は『寒いよ寒いよ』って涙をこぼしている。哲大は手塩にかけて育てた。泣き通しだよ」。支所訪問を終え、公用車に乗り込もうとする石破氏に直接、「せがれと孫を帰してもらいたいですよ。元気な子だったのに」と叫ぶように訴えた。

 石破氏を迎えた支所内では、治夫さんの妹2人、僚船康栄丸の中ノ谷義敬船長、同漁協の外記栄太郎組合長らが約40分間、面会した。漁船発見時間などを巡り、防衛省の説明の変化を非難する声が相次いだ。

 外記組合長は「イージス艦の見張りが不十分だったのではないか。調査してほしい」と要請。あたご側が清徳丸の「緑灯」を見た、と説明していることには、外記組合長らが「壊れた船が不利になる。双方の意見を聞かなくてはいけない」などと抗議した。

 治夫さんと同級生で隣に住む漁師の鈴木正男さん(58)は、同市内の県沿岸小型漁船漁業協同組合で石破氏を迎えた。「働き者の2人がいなくなって、からだの弱いお母さんらはどうなるのか」と憤った。ただ、「この事故が解決するまで責任をもってやって欲しい」と付け加えた。

 勝浦市役所で石破氏の訪問を受けた藤平輝夫市長も「大海原に小さな船が何十隻もいる。自衛艦に『そこのけそこのけお馬が通る』に似た現実があれば大変な間違い」と訴えた。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0221/TKY200802210377.html