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2008年02月22日(金) 23時34分

トルコ、3千人地上侵攻 イラク北部PKK掃討図る朝日新聞

 トルコ軍は22日、クルド人による広範な自治を求めて武装闘争を続けるクルド労働者党(PKK)を掃討するため、イラク北部に侵攻してPKKの拠点を攻撃する地上作戦を21日夜に開始したと発表した。トルコ軍は米軍から情報提供などの協力を得て、昨年12月から断続的に小規模な越境作戦を行っているが、本格的な地上部隊の投入は初めて。

イラク地図

 トルコ軍の越境をめぐっては、イラクのさらなる不安定化への懸念から、国際社会から反対の声が出ていた。

 米国は地上部隊投入の情報を事前に得ていた模様。バグダッドのイラク駐留米軍報道官は声明で「トルコがPKKのテロ活動から自国を守る権利を支持する」と容認の姿勢を明らかにした。トルコ軍の侵攻は「限定された期間」であるとの認識を示した。トルコ国内でも、今回の作戦期間は1週間ほどの短期になるとの見方が支配的だ。

 トルコ軍がウェブサイト上で発表した声明によると、「PKKメンバーと組織基盤を壊滅させるため」に21日に地上からの砲撃や空爆を実施。同日午後7時から地上戦に入った。

 トルコでの報道によると、越境した兵力は3000人規模とみられ、戦車などの地上部隊がイラクと国境を接するハブルから越境。イラク側の町ザホ方面に抜け、空からの援護を受けてイラク領内に約10キロ入ったとされる。

 トルコ南東部の国境地帯では昨年、PKKとの交戦が激化し、軍民双方に犠牲者が続出。厳しい対応を求める世論が高まり、昨年10月に国会が越境作戦を承認、11月に軍に実行権限が付与されていた。

 クルド地域政府は民間人に犠牲が出ていることなどから、越境攻撃には反対してきた。これに対し、トルコ軍は「イラクの統合と安定に格別の注意を払い、作戦目標を達成すれば帰還する」と強調。エルドアン首相がクルド地域政府のバルザニ大統領に電話をかけて作戦の狙いを説明した。

 PKKは昨年以来の空爆などで打撃を受ける一方、路線対立の激化から内部抗争で死者が出たと伝えられ、軍がPKKの弱体化を好機とみて作戦実施を早め、意表を突いた可能性もある。

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