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2008年02月20日(水) 21時32分

<道路中期計画>額賀発言響き、59兆円の根拠に政府苦慮毎日新聞

 揮発油(ガソリン)税の暫定税率10年延長を盛り込んだ租税特別措置法改正案が、20日の衆院財務金融委員会で実質審議入りした。だが、額賀福志郎財務相が前日の同委で、10年間で59兆円の「道路整備の中期計画」に関し「十分精査していない」と発言した問題で、委員会は前日に続き紛糾。予定された質疑の一部を残し散会した。中期計画の位置付けが与野党攻防の焦点となる構図を早くも浮き彫りにした。

 発端は前日の中川正春氏(民主)の質問だった。中期計画に対する財務省の査定内容の提出を求めたのに対し、額賀氏は「個別にきちっとやっているわけではない」と発言。野党は反発し、審議は長時間中断した。

 財務省は20日の同委理事会で、中期計画について「国土交通省は65兆円と算出したが、厳しい財政状況を踏まえ事業量を約1割削減した」などとする見解を書面で提出。野党側が詳細な資料の提出を求めると、財務省は「これ以上の資料はない」と答えたという。

 政府が暫定税率維持を求める最大の理由は、中期計画の「59兆円の道路整備」の財源確保にある。だが今回の質疑で、国土交通省の言い値で作られた計画を「財務省がほとんどチェックしていなかった」(民主党議員)可能性が出てきたわけだ。中川氏は「『つかみ金』で国民の見てくれがいいように1割落としただけ。これが本当に財務省のやることか」と記者団に語った。

 また質疑では、中期計画の閣議決定が、法案成立後に行われることも判明した。野党側は、政府の正式決定でない計画を前提に法案審議が進むことも追及する構えだ。

 こうした批判を意識してか、福田康夫首相は「道路建設には多少長い期間が必要なので(10年の中期計画を)提示した。(中期計画を)その通りにやるかどうかは、毎年度の計画をしっかり立てていく」と答弁。予算編成時に厳格な査定を行う考えを強調して理解を求めた。【尾中香尚里、田中成之】

 【ことば】◇道路整備の中期計画◇ 08年度から10年間の道路整備に59兆円を投ずる計画。安倍政権下の06年12月にまとめられた道路特定財源見直しに関する政府・与党合意に基づき、国土交通省が昨年策定した。当初総額65兆円と積算されたが、昨年11月の政府・与党合意で1割削減された。政府は、中期計画に基づく道路整備の財源確保には、揮発油税の暫定税率の10年延長が必要としている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080220-00000121-mai-pol