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2008年02月18日(月) 20時33分

<高温超電導物質>東工大が新タイプ発見 毎日新聞

 絶対温度32度(セ氏マイナス241度)で電気抵抗がゼロになる新しいタイプの高温超電導物質を、細野秀雄・東京工業大教授(材料科学)の研究チームが発見した。従来、超電導には不向きとされた鉄を含む化合物。絶対温度130度(常圧)で頭打ちになっている超電導物質探しの「新鉱脈」として期待され、科学技術振興機構は18日、細野教授の研究を特別に支援すると発表した。成果は近く、米化学会誌(電子版)に掲載される。

 超電導は、電力の損失なしに電気を送れる電線や、リニアモーターカーに使われる強力な電磁石への応用などが見込まれている。

 細野教授らは、セメントの一種の結晶構造や組成を変化させて物性を調べているうち、鉄とヒ素から成る層を持った化合物が超電導になることを発見した。磁性を持つ鉄は、超電導状態を妨げると考えられていたという。

 細野教授は「元素の組み合わせを変え、さらに高温の超電導物質を探したい」と話している。超電導に詳しい北澤宏一・同機構理事長は「これまでの超電導物質とはまったく異なる振る舞いをすると思われ、従来の記録を超える化合物が見つかる可能性はある。新しい高温超電導物質探しで世界をリードしたい」と期待を込めた。

 これまでに見つかっていた高温超電導物質は、金属系と金属酸化物系の2種類に大別される。93年に銅と水銀を含む酸化物が絶対温度130度で超電導状態になることが発見されたが、その後、温度の記録の更新は止まっているという。

 86年に金属酸化物が超電導になることを発見した研究者は翌年にノーベル物理学賞を受賞、より高温で超電導になる物質探しに世界中でフィーバーが起きた。【西川拓】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080218-00000130-mai-soci